言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

高級お茶漬け

1月に参加した友人の結婚式の引き出物に入っていた、お茶漬けセットがあることを思い出した。桐の箱に入ったそれはもう立派なお茶漬けセットである。
お茶漬け「セット」というだけあって、内容物が豪華であった。内容物がいわゆるお茶漬けの素的な顆粒が入った袋だけではないのだ。
梅茶漬けということでまず梅干が入っている。南高梅である。大きな南高梅の梅干が丸ごと入っていた。立派で肉厚な贈答品のような梅干である。お茶漬けなんかにつかってしまっていいのか怖くなる立派な梅干。
そしてお茶漬けにかける用の出汁……をとるための出汁パック。8分煮出して、3分蒸らすように書いてある、本格的な出汁。カツオとイワシとサバとアジとあとは椎茸の入った出汁である。味付けとかはなくて本当に純粋な出汁である。たぶん他の料理にも使えるけれど、ここではあくまで「お茶漬け専用」の出汁である。なんだその贅沢な。
ついでにお茶漬けに入れるためのものかはわからないが、味付きの鰹節も同封されていた。味が足りなかったらかければいいのか? よくわからないので、とりあえず入れないで置くことにして、それ以外でお茶漬けを作ってみて食べてみた次第である。

食べてみてびっくりしたね。出汁と顆粒だけで味わうには味が薄くておや? と思ったんだけれど、梅干をほぐした瞬間に化けた。その瞬間に理解しあ他。これ、梅干を美味しく食べるように最適化されたお茶漬けなんだって。
肉厚の南高梅が丸ごと入っているのに面食らったけれど、それもそのはず、このお茶漬けセットは、その梅干の味を最大限に楽しむためのものだったのだ。てっきり出汁をしっかりとって作るのはその出汁が美味しくて、おまけとしての梅干なんだとばっかり思っていたけれど、実際は梅干をいかに美味しく茶漬けにするかという、そういう食べ物だったのだ。
お茶漬けというか、ひつまぶしの最後に出汁かけて食べるやつと同じ思想なんじゃなかろうか。メインをどう美味しく味わうか、それを突き詰めたものなんだと。出汁も、顆粒も、全部梅干の引き立て役になるとはおそるべし。
梅干っておにぎりに入れるとか、弁当に入っているとかそういう存在だと思っていたけれど、こうやって食べるとうまいんだな、なんてしみじみ思ってしまった。出汁茶漬けの店とかに入ったことはあるけれど、そういう時ってつい魚介のものとかを頼んじゃうんだよね。鯛茶漬けとか。梅干ってこんなに美味かったんだな。

さてさて、お茶漬けセットにはもう1セット中身が残っている。梅干ではなくてマグロだという。マグロの佃煮が入っているらしいけれど、これはどうなるんだろう。楽しみだ。