言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

雨の日と散髪


雨の日に髪を切りに行った。
時間をずらせば雨が止むことは分かっていたが、予約をしていたので行くしかない、という状況だったので、おとなしく傘を差しながら髪を切りに行った。時間に追われていたわけでもないのでゆっくり歩いて行ったのだけれど、足と、それから右半身が雨で濡れた。
暗めの色の服を着ていたので、右肩から膝あたりまで雨がしっかり当たっているのがわかる構図になっており、到着するなり、「雨、強いですよね」というコメントを貰った。そうですね、と私はあいまいに笑いながら返事をした。雨のピークはもう過ぎていたが、私が左手で傘を持っていたせいで、右側が完全に疎かになっていたのだ。まっすぐ身体が入るように差せば全身濡れないだろう、とは毎度思うが、楽な持ち方をするとだいたい右側が濡れる。左が濡れる時はたぶん、風が強くてどうにもならない時だ。そういう時は全身どうにもならない台風みたいな雨が降っているんだろう。それか、どう降っているかわからないような霧雨とか。
お店の人は雨を拭くためにとタオルを貸してくれた。ありがたく受け取ったが、こういう時真っ先に拭くであろう頭(というか髪の部分)に関してはさほど濡れておらず、服ばかりが濡れていてあまりタオルで拭くような感じにならなかった。濡れた服はタオルで叩いてもしょうがない気がするなと思いながらも、とりあえずなんとなく拭くそぶりをして、タオルを返した。謎の申し訳なさのようなものがあった。

髪を切ってもらっている間に読む雑誌というのはコロナになってから廃止されていた……のだけれど、最近電子書籍として復活していた。タブレットが置いてあるので自由に呼んでいいとのスタイルだ。まあ私は髪を切る時に眼鏡をはずすとあまりよく見えないので雑誌は読まない。目を近づければ読めるが、切った髪が雑誌に挟まる事になるからだ。前はなんかそれでもいいから読んでも大丈夫と言われていたりしたのだけれど、最近はすっかり習慣がなくなってしまい読んでいない。タブレットになったので髪の毛がかかっても掃除しやすいだろうとは思うけれど、裸眼でタブレットを一生懸命見るよりは、目を閉じてぼんやりしているのでいいかな、と思ってしまう。
まあ暇だけれど、別にそういう時間があってもいいんじゃないかな。寝るわけではないのだけれど、適当に顔を動かさないように瞑想するというか、考え事をするというか、そういう感じ。悪くない時間だと思う。
前を切っているか後ろを切っているかで顔を多少動かしたりはするが、それ以外は基本静止した状態で止まっていることになる。
髪を切っている間に会話をする方でもないので、店側も特に何も話しかけてこない。髪を切っているその時は身振り手振りが使えないどころか頷くこともできないので、どうも会話しづらくて得意じゃない。適当に話せないわけではないが、それなら黙っているほうが楽だと思ってしまうのでいつもそうしている。
ただあれだな、髪を洗ってもらう時の「何かかゆいところはないですか」には返事がしたくなる時があるな。顔がものすごくかゆくなる時がある。顔に乗せた布というかタオルというか、あれがかゆく感じることが結構あるのだ。なんでだろう。妙にかゆくて、いつも鼻のあたりとか口元とかを触りたくなるのだ。苦手なんだろうか。くすぐったいだけなんだけれど。

そんなわけでとりあえず髪を切ってもらってきた。夏向きに短めに。さっぱりしていて気持ちがいい。雨の日でも、やっぱり頭が軽くなるといいものだ。シルエットがそれほど変わらなくても、髪の量を減らして貰えるだけでだいぶいい。洗った後乾くのが早いというだけでもだいぶ違う。

髪を切りに行くのって気持ち的には面倒くさいんだけれど、実際行くと気分的に悪くないんだよな、いつも。予約しているから仕方なくその時間に合わせて行く……って感じなのに、行ってしまえばあとは委ねるだけだから楽といえば楽なんだよな。
次行くときもきっと予約するまで面倒で、でも行けばきっと同じように頭が軽くなって楽になる。そういう繰り返しで毎度生きている。