言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

八重桜


ソメイヨシノの季節はすっかり終わりを迎え、早くも八重桜が満開である。全体的に1週間ずつ前倒しされて行っているような、そんな具合だろうか。だいたい八重桜は4月の半ばから後半にかけて見頃を迎えるものが多く、ものによっては5月が見ごろというものもあるわけだが、今年はなんだか一斉に満開になっているような気がして季節の進みの速さのようなものを感じる。
昨日、会社を出てまっすぐ駅に向かわずに別ルートを通ったら、街路樹がすべて八重桜になっているゾーンを見つけた。日が暮れていたので夜桜ではあるが、街灯に照らされた八重桜もなかなかに綺麗だった。いつも会社と駅の間の飲食店くらいしか寄り道をしてこなかったので気が付かなかったが、ちょっと裏手に回っただけでこの時期ならではのいい風景にであるなんて思ってもいなかった。
まあ会社の帰りなんてのは食事以外の用事でなかなか寄り道をする気持ち的な余裕がない。最寄駅から家までの間なら買い物などもあって寄り道しがちだけれど、会社からその最寄り駅までというのはどうもまっすぐ帰りたくなるような心理が働いているようで、落ち着かないのだ。平日は家に帰ってやりたいこととやらなくてはならないことが両方あって、ついでに疲れてもいる。帰りの電車で座れるかどうかもわからないし、どうせ混雑しているし……などと思ったらまあ、食事をするタイミングを考える以外にはまっすぐ帰りたくなるものである。帰り道にジムに寄ったり習い事をしたりしている人、結構凄いと思う。尊敬しかない。

話が逸れたけれども、何よりも八重桜である。
ソメイヨシノのそれとは違って花弁が何重にもなっているものなので、一つの花が大きく、丸く見えるのが特徴である。また品種にもよるが、葉と一緒に開花するものが多いように見られる。なので、遠目から見る八重桜の木のシルエットはソメイヨシノのそれとはかなり違って見えるものだ。
そういう意味では結構遠目に見ても派手なほうだと思うのだけれど、認知というか人気のほどは結構地味なものだと思う。八重桜でもお花見とかしたらいいんじゃないかと思うのだけれど、あんまり見たことはない。もっとも、八重桜がたくさん植わっているような公園では先週か今週末あたりに「桜まつり」を開催していたりするので、やっている人はやっているんだろうな、と思う。
もうちょっと時期が遅ければ花粉の影響もほとんどないうえに気温も上がってきていて、外で楽しく飲み食いできるのだけれどまあそのあたりもだいぶ惜しい、という事なんだろう。八重桜で花見、悪くないと思うんだけどな。

私の家は窓から八重桜が結構良く見える。決して近いわけではないのだけれど、ちょうど今頃は見ごろなので朝なんか数秒手を止めて眺めてしまったりする。目の前に桜の木があれば……なんてことはよく考えるけれど、管理しなくちゃならないいろいろのことを考えたら遠目に見ているほうがきっと楽なんだと思うようにしている。
直線距離にして200mくらい離れているうえに、地形的に起伏があるので結構遠い感じがするのだけれど、先日私の家のベランダに花弁が1枚舞い込んできていることに気が付いた。どこの木から飛んできたのだろう、と不思議に思ったほどには距離がある。自由研究とかならこういうものをきっかけに「舞い込んできた桜の花びらから木を特定する」なんてことをすると面白いのかもしれないが、ネットでそういうことをするにはあまりにも家とその周りがプライベート空間過ぎてできないな。どっか会社とかで似たようなことをすればいいんだろうけど、まあなんだ、もう誰かやってそうだな。遺伝子レベルで調べないと特定できないかもしれないけれど、そういう結末でも面白いとは思う。私はやらないけれど、ライターとかって普段こんな感じで記事ネタを探したり作ったりしているのかな。

まだ4月も10日過ぎでようやく中旬に差しかかろうかという時期である。すっかり春の陽気だが、朝晩冷え込む日も多く、暖房をたまに使う日があったりもする。日もすっかり長くなったし、いつの間にかどんどん季節が進んでいくわりには変なところで帳尻を合わせにきていたりして、面倒くさい。
まあでも、夜は寒くて昼間暖かい、というのはある意味過ごしやすいかもしれない。中途半端に寒いと暖房はつけないけれど、10℃とかになれば付けちゃうしそれならそれで快適だからだ。
毎年八重桜の季節ってのはちょうどそんな感じで、快適な頃合いなのかもしれない。