言葉のリハビリ場

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ルイベ解凍しきってごめん


鮭のルイベ漬という食べ物がある。「ルイベ」という言葉は諸説あるようだがアイヌ語から来ている言葉のようで、鮭などを凍ったまま薄切りにした刺身のことを指す言葉である。保存のためと寄生虫対策のための両面を兼ね備えた食べ物で、凍ったままあるいは半解凍くらいで食べるものだ。
その派生形が「鮭のルイベ漬」である。鮭を「漬け」の状態にして凍らせたものだ。解凍するときに原型が失われるが一応イクラも入っていたりする。これが結構美味しいし、ご飯によく合うので好きだ。
なので私は北海道に行くとよくお土産として鮭のルイベ漬けを買って帰る。特に深いこだわりはないので一番有名であろう佐藤水産の鮭のルイベ漬を買っているが、普通に美味しいので気に入ってリピートしている。あと、海産物はなかなか賞味期限が気になってお土産として買うのは難しい印象があるけれど、ルイベならば凍っているので長持ちしていい具合だ。佐藤水産の鮭のルイベ漬けに関しては賞味期限が60日ということなので、結構余裕がある。
余裕があるとはいえ、忘れていると賞味期限が近づくのはあっという間だ。1月の頭に北海道に行った時に買ってきたものを久々に引っ張り出してきたら、そろそろ賞味期限が近づいていた。
そんなわけで平日のなんてことのないはずの夕飯時に、鮭のルイベ漬け定食が登場することになった。

鮭のルイベ漬けは、凍ったままでも食べられる。食べられるというか、たぶん、凍ったまま食べるのが普通なんだと思う。
ところがまあこのルイベ漬けはトレーの中にしっかり詰め込まれているという形状のため、冷凍庫から出して即食べようとすると全体がぴったりと凍り付いて食べにくい。薄切りの刺身を並べているのとは違い、箸が通らないのでかき揚げみたいな感じになってしまう。なので多少解凍しておいた方がいいんじゃないか、というのが私の見解である。半解凍、ご飯の上に乗せたときにちょうどいいくらい……というのを目指したいところだ。
でもまあ正直、その調整というのはなかなか難しい。どの程度の時間解凍すればいいのかなんて皆目見当もつかないので、とりあえず冷凍庫から冷蔵庫に移してゆっくり自然解凍させればいいか、ということになった。
昼くらいから冷蔵庫に移したので正直夜には解凍しきってないんじゃないかくらいの気持ちで放っておいた。

そうしたら、夜食べるころにはすっかり解凍されきっていた。つまみ食いしてみると冷たい刺身という感じでルイベ感は全然ない。

再凍結させた方がいいのか? とも思ったが、よく考えたら凍っていることへのこだわりは私の中には全然ないので、そのまま食べることにしてしまった。ルイベという言葉と食べ方には完全に反して全解凍状態だけれど、まあ別にいいか、と。本当に凍った状態で食べたければ電子レンジなんかを使って凍った状態から少しずつ調整すればいいんだと思うが、それをやらなくてもいいかと思った時点で私は凍った刺身への愛着がないということなんだと思う。
しっかりと冷えたサーモンの漬けイクラ風味という具合で食卓に上がった鮭のルイベ漬け、作っている人が見たらちょっと悲しみそうだけれど、ちゃんと美味しくいただいたので目をつぶって見なかったことにして欲しい。
漬けサーモンって普通に美味しいからね、そういうこと。

まあでも冷凍していた意味は確かにあったのでいいんじゃないだろうか。長持ちするし衛生的。それに尽きる。食べる時に全面的に解凍してしまっただけで、あとは役目を果たしたと言えなくもない。

今度あれだな、北海道に行ったらちゃんと凍った状態で鮭のルイベとかを食べてみたら考えが変わるかもしれない。前回、石狩で鮭尽くしコースを食べた時、歯を治療する前だったので結構しみて食べにくかったりして……それが原因かな? 今食べたら全然感想変わるかも。

ルイベなのに解凍しきって、ごめん。