言葉のリハビリ場

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JALの「どこかにマイル」を使って旅行をした話

 

週末、JALの「どこかにマイル」を使って旅行をしてきた。

www.jal.co.jp


「どこかにマイル」というのはJALのマイルを使って飛行機に乗れるサービスなのだが、6000マイル(2023/4/11からは7000マイルになる)で飛行機にただ乗りできる代わりに行先をこちらで指定できないというランダム要素を持ったサービスである。

完全にランダムで行き先が決まるわけではなく、4択までは行先を絞ることができる。
乗りたい日付と時間帯、人数を指定して検索を掛けると行先候補が表示されるのだ。何度でも再検索ができるので、たくさん再検索してある程度方向性を決めることができるようになっている。
ただし、4択以降は完全にランダムである。機材が大きいとかシーズンオフだとかで空席が多そうな路線が恐らく当たりやすいだろうとかそういった予想はできるわけだが、正直そこから先は不明瞭な部分である。適当にあてがわれてそこに搭乗するんだという気楽な気持ちで臨んだ方がいい。
出た4箇所の行先候補のうちどれが選択されるかはわからないということで、どれに当たってもいいように何度か検索を繰り返して納得のいく選択肢になってから申し込みへ進んだ。



私の場合の候補は「帯広、青森、鹿児島、那覇」である。他に釧路、秋田、徳島、高松、岡山、広島あたりを見かけたが、できるだけ最近行っていなさそうなところにしたくて挙げた4つで決めた。

まあなんというか、言い方は悪いがとりあえずどこか遠いところに行きたかったのだ。それでいて交通費にあまりお金を掛けたくない……ならばランダムに身をゆだねてみようじゃないか、というわけである。スギ花粉飛散がピークを迎える前の最後のタイミングじゃないかとも思っている。

行先の決定は2,3日かかるとのことだったが、今回は申し込んだ翌日に、行先が決まった旨の連絡が入った。

座席は搭乗便が決まり次第選択できる

 

私の向かう先は鹿児島空港になった。

鹿児島は何度か足を運んでいるが、鹿児島空港は初めてである。申し込んだのが旅行前週ということで約10日くらいしか間がなかったのだけれど、早速準備に取り掛かった。
交通手段の確保と宿の確保が主な作業だったが、どこに行こうかというのが思いのほか難しくて、二転三転しながら結局レンタカーを使って九州最南端の佐多岬に行くことにした。最初はどこか温泉旅館とか鹿児島市内だとかを見ていたのだけれど、いまいちピンと来なかったり価格が高騰していたりでそのあたりは厳しかった。直前予約だとこういうことがある。
なので、人のあまり行かなさそうな大隅半島の先端、佐多岬あたりを地図で眺めていたらホテルを見つけたので、そこを予約して向かうことにした。

 

思いがけずの鹿児島旅行。

以下、旅行のダイジェストである。

 

当日朝。

10時の飛行機と余裕のある出発時間帯だったので、立ち食いそばを経由しつつ適当にラウンジにでも寄るかと早めに家を出たら、立ち食いそばの後電車遅延に巻き込まれてラウンジどころか保安検査場通過も割とギリギリな時間に羽田空港に着くことになる。

搭乗口も鹿児島便なのに羽田の北ウイング(先日北海道に行った時と同じ場所)に変更になっていた


結局飛行機も到着便遅れのため10分遅延していたので特にギリギリにもならなかったのだけれど、朝から少しだけ焦った。まあ無事に乗れたのでよし。

富士山が見えた

鹿児島空港到着もそのまま10分遅れだったので、今度は空港隣接のところで予約したレンタカーの時間が気になってくるが、先に昼ご飯を食べることにした。

さつま揚げ入りの「さつま豚汁定食」

食事時間に10分くらいしか猶予がなかったけれど、結構美味しかった。

こういうシンプルな定食はかなり好きだ。とんかつ定食のようなしっかりしたものと少し迷ったけれど、さつま揚げ入りの豚汁定食でこの場面は正解だった。外もやけに寒かったし。

この日鹿児島空港周辺の天気は曇りと聞いていたのだけれど、気温2℃で雪まで舞っていた。話が違う。もう少し暖かいと思っていたし、雪は想像していなかった。
まあ雪が積もるほどではなく舞う程度だったので良かったが、あまりに路面が酷ければ大隅横川方面に北上するのは止めようかと思ったほどだ。まあ鹿児島空港に着陸した時点で全然路面は普通だとわかったので杞憂に終わった。

どうでもいいけれどレンタカーへ案内してくれた係員の人が強めの鹿児島訛りだったので、なんとなくああ鹿児島に来たんだな、とその時実感した。


車を借りて最初に向かったのは「横川温泉」という施設である。

民家みたいだがちゃんとこれでも営業中


地元の人たちしか使わなさそうな普通の家みたいな施設だけれど、普通に温泉施設として使用できるというのを地図を眺めているときに見つけて寄ってみたが、かなり味のあるいい施設だった。
番台に適当に百円玉を2枚置いて入るスタイルだというのは事前に仕入れた情報でわかっていたが、それでもちょっと不安で中にいた人に声を掛けてしまった。番台の奥の方でテレビを見ていた人は話しかけられてめちゃくちゃに驚いた顔をしていたが、お金を置いたらそれで大丈夫というように頷いて、あとはテレビの方に向き直っていった。

今どき大人200円はなかなかすごい。入ってみるとちゃんとお湯が温泉でいい感じだった。
シャワーのお湯が出ないとか、立ち上がると外から丸見えだとか、外の景色が全部田んぼだとかそういう面白ポイントはいっぱいあったが、200円でこれはすごくいい体験だった。隣の浴槽から地元の人っぽい話し声がずっと聞こえてきたけれどほとんど何の話をしているのかわからなかった。
「本当にここでいいんだろうか」とか「営業しているんだろうか」とか「脱衣所の床板が抜けそうなほどきしんでいる」とか終始ドキドキしながらだったが、面白い体験ができてよかった。


一度北上してしまったが、目的地は九州最南端の佐多岬である。

100kmくらい運転しないと到達しない箇所なので、この日はせっせと南下に励んだ。途中からずっと高速道路が一車線しかなくて疲れたが、高速を乗り終えた先の道路も大差なくてなかなか神経を使った。前が遅い車なのもどうしたものかという気分にはなるが、自分の後ろに明らかに早く行きたそうな車が付いてしまった時の方が嫌な神経を使う。別に煽って来るとかでなくてもなんとなく嫌だ。高速でも下道でもそれは同じである。
ただまあ佐多岬という大隅半島の先端まで行くような人はほとんどいないらしく、最後の30分くらいはずっと一人旅で快適だった。

途中で休憩したときに食べたピザまん

山の方は雪だったが、さすがに海のほうまで行くと晴れていた。それでも寒いし、ついでに強風だった。なので途中休憩がてら海岸沿いのパーキングに車を入れたりしたが、あまりに寒くて早々に退散した。

そんなこんなでホテルに到着する。

宿泊したのは「ホテル佐多岬」という名前の通り佐多岬近くにあるホテルである。


全然知らなかったが、どうも今年の3月末で閉館になってしまうホテルのようで、ものすごく閑散としていた。なんだかわからないが独特の哀愁があった。まあ泊まる分には静かなので良かったけれど、ここまで人の気配の薄い広いホテルというのはちょっとシュールな感じがした。


あとリニューアル等で対応したんだろうけれど、大浴場が半分タイルで埋められているのは笑ってしまった。トリックアートみたいだった。浴槽サイズは変わらないのに、浴槽の「へり」の部分がずっと風呂の半ばまで続いているようになっているので、浴槽からあふれたお湯が1cmくらいの膜のように流れていく謎の箇所がたくさんあった。長方形の浴槽を縦半分埋めてさらに細い長方形にしているので足を伸ばすには横を向くしかないというのも面白すぎた。
工夫して何とか経費を削減しようとしているけれどもう限界、というのがホテルの随所に感じられて(閉館を承知の上なら)かなり面白かった。

全室オーシャンビューということで部屋の目の前が海なのは結構良かった。まあ網戸を開けて外を見ようとしたら網戸が外れてその時は焦ったが(つけなおした)。


翌日は朝から佐多岬である。



九州最南端のということは、離島などを除くと「本土最南端」という事にもなるらしい。現地での表記はほとんど「本土最南端」だった。

足を踏み入れることのできる範囲での最突端



薩摩半島側の開聞岳がきれいに見えたり、屋久島や種子島を始めとした離島もちゃんと見えて結構良かった。

「薩摩富士」とも称される開聞岳が見える

今はモーター付きの船があるけれど、江戸時代やそれ以前のいわゆる「島流し」は本当に流されていくような感覚があったんだろうな、みたいなことを考えながら島を眺めていた。
平家物語』で言うところの俊寛島流し伝説がある薩摩硫黄島なども見えていたが、はるばる京の都から連れてこられて最後船に乗って島に流されるとなると、それだけでかなり疲弊したことであろう。

そんなことをだらだらと考えたりして佐多岬観光を終え、あとは北上していくつか寄り道をしながら空港へと返っていった。

 

昼食で寄ったのは根占という町にあった根占温泉(ネッピー館)施設併設のレストラン。このあたりは食事ができそうなところが全体的に少ないのだけれど、そんな中でこの施設の存在がありがたかった。


ちょっと贅沢をしてとんかつとカンパチの刺身の両方が食べられる定食にしたけれど、このカンパチが地物ですごく美味しかった。大正解だった。


せっかく温泉施設併設ということなので予定になかったが入浴もする。かなり塩気のある温泉で、結構いい感じだった。露天風呂がぬるくてずっと入っていないと厳しいなと思っていたら、地元っぽい人に同じ感じのことを話しかけられた。ただし訛りが強くてなかなか上手く聞き取れず、ちょっと大変だった。
この施設も広い大浴場と露天風呂があって330円というかなりお安いお値段の温泉だったが、なんでこんなに安いんだろうと心配になるほどである。洗い場もたくさんあるし、入らなかったけれどサウナもある。普通に1000円台の温泉施設と同等かそれ以上のラインアップだ。謎である。予定外だったけれど入ってよかった。

 

そのあとは薩英戦争当時の砲台などを見学したりしながら北上し、空港を一度通り過ぎて少し北の地点にある温泉にやってきた。

18泊20日も滞在したという坂本龍馬夫婦

塩浸温泉という、坂本龍馬が新婚旅行で滞在したという温泉だ。本当は塩浸温泉だけに行く予定だったのだけれど、根占で温泉に入ってしまったので思いがけず同日2回目の温泉である。
こちらの温泉も入浴料380円とかなり安い。広くはない洗い場3か所と小さめの浴槽だけの簡易的な温泉だったけれど、それでも結構安いほうだと思う。
鉄臭さのある温泉で、横川温泉や根占温泉とまたタイプが違っていい感じだった。

あまり時間がなかったので階段を上った先にある公園やちょっとした資料館は寄らなかったが、散歩するにはちょうどよさそうなところだった。今度来たら売店で温泉卵を食べたい。

 

そんなこんなで温泉を楽しんだ後ようやく空港に戻る。

空港で〆と称してラーメンを食べ、

ラウンジがあったのでビールを飲んだりしてすごした。

鹿児島空港にラウンジがあるのは知らなかったので、ギリギリで気が付いて駆け込んだ形になる。本当はゆっくりしたかったが、まあ行程上仕方がない。

でももう運転しなくていい状況での飲酒は最高だ。

時間がなくてあっというまに飲み干した、ラウンジのフリードリンクである生ビール(サッポロ黒ラベル

 



たまにはこうやって直前に決まる旅行も面白いものだ。

またマイルがいい感じに溜まったら試そうと思う。