マスクを忘れて家を出て取りに帰ったりした

気温もほどほどになって「晴れてさえいれば過ごしやすい日が増えたな」なんて思いながら外出して30秒、そこで初めてマスクを忘れたことに気が付いた。道理で妙に清々しいわけである。大抵バッグに予備が入っているのだけれど、この日はちょうど最後の1枚を使った後だったので、マスクを取りに家に帰った。
歩いているときにマスクをしている必要はないというのは十分に理解をしているが、そこはもう習慣である。マスクをせずに歩くのは抵抗がある……と思っていた。思っていただけに、普通に忘れて出かけてしまった自分にちょっと驚いている。
それこそここ数年で初のミスである。駅くらいまで歩いてしまっていたら、もっと焦っただろう。30秒で気が付いてよかったものである。それでもちょっとした運動になった。

これ今の季節だからどうということはないものの、花粉の季節であればそれこそ致命的なミスとなる。風のある気持ちの良い気温の日にマスク無しで出かけたら、その日の夜は鼻が止まらなくて寝られないこと間違いなしだ。30秒とかでどうにかなるわけではないものの、マスクを持たずに出かけるなんてもう考えるだけで恐ろしいものである。
それに比べればまあ大したことはないわけだけれども、それにしたって気が付いた瞬間は久々に「やっちまった」感があったものだ。取り返しがつく「やっちまった」で本当に良かった。仕事とかでこれを感じる時は、あとはどうやって報告しようか、みたいな瞬間ばっかりなのでもう本当に冷や汗どころの話ではないからだ。軽微なミスで感じる分にはヒヤリハットみたいなもので済むからまだマシだ。

しかしまあいつのまにやら2022年である。2020年の年初にインフルエンザに掛かったりしてそこからずっとマスクをし続けて生活しているのだけれど、そんな生活も3年目である。すっかり当たり前になったとかそんな次元ではなく、マスク無しで出かけるとやっちまったと感じるくらいには日常になってしまっているわけだから、世の中わからないものである。
もっとも、そういうことと関係なくずっとマスクをしている人というのは昔から一定数身近にいたものだ。理由はいろいろだろうし、その辺をあんまり詳しく掘ったこともないが、いつのまにやら世の中全体でずっとマスクをしているという、なかなか想像できなかった世界が当たり前になるのだから……不思議なものだ。

人に会う時は必ずマスクをしているので、最初の方はぱっと見で顔がわからなくてちょっと戸惑ったりもしたが、今ではすっかりマスク有りの顔にも慣れて、ぱっと見で顔がわからず戸惑うなんてこともなくなってきているのは面白いところである。
色や材質などそれぞれ人によって好みがわかれるところであり、だいたい同じ人が同じ色のマスクをしているからそれとセットで覚えていることが多い。意識しなくても、この人はいつも黒マスクだよな、とか、この人は大抵ベージュの立体マスクだよな、とか、たぶんメガネとかの装飾品と同じ感じで記憶をしている。だから、たまに違うものを身に着けているのを見ると、マスクを変えたんだな、と内心思っていたりする。
……内心思うだけなのは、メガネとかよりは気軽に違うものに変更できるということもあって本当に最近違うものにしたのかとかがわからないからという点と、そもそも「最近違うマスクにしたんですね」的な会話はあんまり聞いたことがないという点にある。まあ別にそれしか話題がないなら出すかもしれないが、何度も会っていてマスクが変わったのをわかるくらいの仲だったら出てくる話題じゃないだろう。よっぽど特徴的な柄のマスクをしていれば別だろうけれど、最近別にテレビですらそういう人は見かけなくなったし、街中でも別に見かけない。ならば知り合いには当然ほぼいない。だいたいみんななんというか、普通だ。キッチリ観察しているわけでもないので、内心でだけ、そういやいつもとマスクが違うな、とか思っていたりする、それだけのことにとどめるのがちょうどいいだろうと私は結局そういう結論に落ち着いている。。
毎日使うものだから品薄さえ解消すれば自分の好きなものを使うようになるだろうとは思っていたが、だいたい固定化されているのを見ると予想していた以上にみんなこだわりがあるということなんだろうな。
私なんかは使い心地の方を優先して選んでいるけれど、いつもとは違うマスクを試しにつけてみたら違和感がすごかったりしたことがある。

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見た目はそんなに変わらないのに、付け心地はこうも違うのか、と。

まあでもなんかあれだな、急に気が変わって派手なマスクをつけるようになるかもしれないし、装飾品としてたまに冒険してみてもいいかもしれない。
そうしたら、会った人に言われるだろうか。マスク変えたんだね、って。