言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

ガムを踏んだ


ガムを踏んだ。今どきそんなことあるもんか、と思っていたが、残念なことに遭遇してしまった。
ガムって踏むんだな。古典的なギャグとかエピソードとかで出てきたくらいでもはや懐かしいくらいの存在だと思いつつあったが、現役だったとは。そもそも大っぴらにガムを噛んでいる人とかって一昔前に比べたら減ったような気がするけれど、それはまあマスクをしていてわからないだけかもしれない。

最初は全然気が付かなかったのだけれど、靴に枯草の束がくっついてきてなんだろうと思って見たらガムがくっついていて、それが枯草を巻き込んでいる状態だった。
見た瞬間めちゃくちゃげんなりした。
今どきその辺にガムを吐き捨てる人間がいることもだが、それを踏んでしまったことも嫌だ。昔ほど見なくなったとはいえ、今でもガムをその辺に捨てるやつがいるんだという事実をこんな形で知りたくはなかった。
靴の裏をアスファルトにこすりつけるような形で一生懸命落としてみたが、どうもしばらくは粘着力が残っているような気がして歩くたびになんとなく気持ちが悪かった。そのあとちょっと土っぽいところを歩いたりしてから気にならなくなったつもりだったが、あの地面にちょっとだけ粘着する感覚が残っているような気がしてやっぱりしばらくテンションが下がったままだった。たくさん歩いて疲れていたというのもあるけれど、初めて歩く街で前じゃなくて足下が気になるような羽目になるというのは割と普通に嫌な体験だった。

そもそもだが、昼ご飯を食べるために2時間くらい待ったのも効いていると思う。
月曜日が休みだったのでちょっと遠出して美味しいものでも食べよう、ということで出かけて行ったのだが、目当ての店だけが大行列だった。11時10分くらいに店の前についたのに、既に入店目安は12時半と書かれていた。一人だったので多少早く入れるかと期待したりもしたがそんなこともなく、入店したのは13時過ぎだった。結局想定よりも待った。
まあ別にそれ自体は暇だったからいいし、そんなに悪い事でもなかった。食べたものも結構美味しかった。2時間待って食べるほどかと言われればそうでもない気はしたが、美味しいのは美味しかったので特にそれ以上は思わなかった。

ただまあその店を待っている場所が駐車場という名の草の生えた空き地だったことを考えると、ガムを踏んだのはあそこだったんだろうな、と思っている。待ちくたびれた客がガムをその辺に捨てたんだろう。最悪だ。包んで捨ててくれ。今どき包んで捨てる用の紙か包装のないガムのほうが少ないというのにどういう了見だろう。

ガムを噛んだらゴミ箱へ。
……なんか、それこそ一昔前の広告であったようなフレーズだ。一昔前どころじゃないかもしれない。私の子供の頃かそれより前のキャッチフレーズだろう。「ゴミ箱」じゃなくて「くずかご」だったかもしれない。今どき「くずかご」って言わないよな。なんかJRの古い駅の雰囲気がある。場合によっては「くずかご」ではなくて「くずばこ」だったかもしれない。まあどうでもいい話だ。
踏んで嬉しいことなんか一つもないし地面にも靴にもこびりつくしでとにかく不快だからほんとやめてくれ、頼むから。

今どき見なくなったと思ってたんだけどな。玄関のドアの前に転がっていた虫の死骸を踏みつけてしまったとかそういうことはあった気がするけれど、なんとなくガムのほうが残る感じがして嫌だから、ほんともうなくなって欲しい。最後でありたいもんだ。