言葉のリハビリ場

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煮卵を作ろうとしたら半熟の罠にはまった話


ラーメンを食べるときについつい煮卵をトッピングしてしまう。煮卵1つで100円とかってどうなんだと思う人もいるだろうけれど、私の場合は値段とかじゃなくて煮卵が好きで追加をしているからあまり気にしたことはない。「卵かけご飯200円」だとあんまり頼まないけれど、煮卵トッピング100円と小ライス100円、なんてのは場合(めちゃくちゃお腹が空いているとか)によっては普通に頼んでしまうものである。卵かけご飯だって普段は大好きだけれど、煮卵のほうが優先度が高い。使われている具材は同じでも、煮卵という存在が私にとっては特別というわけだ。

そんな煮卵だけれど、最近ふと思い立って自分で作ってみることにした。簡単なレシピを見かけたからである。ゆで卵を作って、ジップロックに調味料と一緒に半日くらい入れておけば良いという簡単レシピである。その調味料もちょっと濃いめにつくった麺つゆでいいということなのでお手軽だ。
生姜とかにんにくをちょっと足してもいいらしいのだけれど、とりあえず難しいことは考えずに麺つゆだけで作ってみることにした。

「煮卵」なんて名前であるが、実際のところまずゆで卵を作るところから始まる。ゆで卵を調味料に着けているだけなのだから「漬け卵」じゃないななんてことを思ったりもするが、細かいことは気にしない。実際のところ、冷たい煮汁にゆで卵を入れて煮るというレシピもあるようだけれど、ゆで卵を作るところまでは一緒である。
ラーメン屋とかで働いたことがないのでわからないが、煮て作っているようなところは実際あるのだろうか。

まあそんなことは些細な問題である。
私が適当に作る分には簡単であればあるほどいいわけで、ゆで卵さえ作ってしまえば後は放置して置けるお手軽レシピでちょうどいいのである。

せっかくなのでちょっと半熟にして食べたいので、茹で時間を調整することにした。水から入れるのが割と基本のゆで卵レシピな気がするけれど、今回はきっちり半熟の状態を作りたかったので「沸騰してからそっと生卵をお玉で鍋に沈める」方のレシピを採用した。
黄身が固まりきらない感じの半熟卵にするには、沸騰したところに卵を入れて7分ほど茹でる、とレシピにはあったのでそれに従って茹で時間を設定した。

7分ちょっと経過したのち、卵を取り出して水で冷ます。手で触れるくらいの温度になったことを確認して殻を剥き始めた……のだけれど、殻を割った時点でどうも白身が緩い気がして手が止まった。半熟は半熟だが、白身も固まり切っていなかったのである。温泉卵とまではいかないけれど、ゆで卵にもなり切ってない半端な状態だ。でも殻を割り始めてしまったので今更どうすることもできず、そのままちょっと塩を掛けて口に運んだ。
強めの半熟卵という感じで美味しかったが、私は煮卵が食べたかったのである。失敗した。
3個卵を茹でていたので、残りの2個はもう少し再加熱することにした。また水を沸騰させて、1分半くらい追加で加熱した。

それくらいやればもういい感じの半熟卵になっているだろうと思って再度割ってみるも、固まり具合としてはだいぶギリギリな感じに仕上がっていた。半熟卵にこだわっている店の煮卵ってこれくらいの柔らかさだよな、と思いながら剥いていたが、そのうちに私の不器用さのほうが勝ってしまい、今度は白身がはがれるようにして黄身が露出してしまうという事故を起こしてしまった。そうするともう煮卵にすることはできない。
なのでまた、私は塩をつけて卵を口の中に放り込んだ。まさに半熟卵という感じで美味しかったが、そうじゃない、煮卵を作りたいんだ。
最後の一つはサイズが若干大きかったこともありちょっとだけ長めに湯の中に入れていたこともあってか、3個目にしてようやくまともに殻を剥くことに成功した。中身が結構半熟なのは触っている感じで分かったので、だいぶ慎重に殻を剥いたが、白身には若干切れ目のようなものが付いたりした。まあ壊れなかったのでセーフだと言うことにした。


残りの卵は1つになってしまったので、それだけで漬けておくのももったいない気がして冷蔵庫に残していた最後の1つも茹でてしまうことにした。こちらはもう7分とかそんなことは言わず、水から入れて沸騰してから8分強、というさらに長めの時間を設定して茹でた。こちらはもうちゃんと白身が固まっていたので、殻を剥くのは簡単だった。


しかしまあ、煮卵を作るのにまさかゆで卵の時点で苦戦を強いられるなんて思ってもみなかった。

あとはもう5倍濃縮の麺つゆを目分量で適当に2倍くらいに薄めて、それとゆで卵を一緒にジップロックに放り込んで冷蔵庫で半日寝かすだけである。ここはさすがに間違えるとかそういうこともなく、つつがなく進んでいった。夜に作ったので、食べるのは翌日ということになった。

翌日の昼、1つ目の方の煮卵を取り出して食べてみた。茹で時間の短い方のものだ。白身に割れ目が入ってしまっていたのが大きくなっていて、黄身のほうまで到達しているような感じがあったが、ちょっとしょっぱくなっていたもののちゃんと美味しい煮卵……の手前くらいのクオリティのものに仕上がっていた。もうちょっと麺つゆを薄めてもいいなとか、生姜チューブとかでちょっと味を調えてもいいんだろうなという感想にはなったが、おおむね成功かな、という結論に至った。
ただ意外だったのは、もっと半熟っぽかったはずの黄身が、思いのほか硬めになっていた事である。白身が割れてしまっていたのが原因だろうか。半熟ってのは難しいんだなと言うことが分かった。

夜になって、もう一つのしっかり茹でたほうを取り出して食べることにした。半日どころか丸一日漬けてしまったが、こちらは綺麗に殻を剥くことができたので味の染み具合も緩やかでいいだろうと思って放置していたのだけれど、読み通りちょうどいい浸かり具合になっていた。
そして驚いたことに、結構固ゆで気味になっていると想像していた黄身が、思っていたよりも半熟の状態で保持されていた。ちゃんと茹でた気がしていたのに意外だった。
どういう理屈かわからないが、私の環境では8、9分くらい茹でるのが一番ちょうどいい半熟具合になるようである。殻も剥きやすいし、言うことはない。

2日で卵を4つ消費することになってしまったのでまた数日開けることになるが、今度は8、9分くらい茹でた卵を使って煮卵を作りたいと思う。煮卵の味付け側はもう後は工夫する段階にきているが、まさかゆで卵側で試行錯誤が必要だとは……ゆで卵を甘く見過ぎていた。
簡単だ、当たり前だ、と思っていることほど案外難しいということなのかもしれない。