言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

鍵をなくしたかと思った

家の前まで帰ってきてさて鍵を……と思ったときに、いつも入れているポケットに鍵が入っていないことに気が付いた。
さっと血の気が引く、とはこのことである。しかも、思い当たる節もある。
というのも、1時間くらい前に服を脱ぐような場面があったのだ。試着室で服を一度脱いで、壁のハンガーにかけたのだ。そういうタイミングでポケットからものが滑り落ちるというのは割とよくあることである。たいていそれは家の中だとか、大浴場の脱衣所だとかそういう場所で起こるのだけれど、ポケットの中に入れるものは限られているのでいつも再度着た時点でちゃんと所定の位置にものが入っているかを確認する。だけれども、その時に限ってはちゃんと確認をした記憶がないのだ。あんまり意識せずにざっと確認してしまうので、異常を感じないと意識に残らないのだ。

帰りがけに冷凍食品を買っていたのでさっさと冷凍庫に放り込まないと、とか、そもそも本当にあそこで落としたんだろうか、とか、さらには今から戻るとしたら往復1時間で済むだろうか……などともういろいろなことを考えながら2,3分立ち尽くしていたのだけれど、最後の望みを賭けてバッグの中を捜索することにした。
ここになかったらいよいよもうどこかで落としてきたということが確定になる、と半ば絶望しながらバッグの中を捜索していると、チャック付きのポケットの中に鍵が入っているのを見つけた。
鍵はバッグの中に入れていたのだ。

記憶にないのでおそらくだが、スマホやパスケースと一緒に鍵もいったん各ポケットから取り出し、バッグの中に入れていたのだ。その時スマホとパスケースに関しては適当にメインの方に放り込んで、鍵はどこかに行ってしまわないようにチャック付きのポケットに入れた……ということなのだろう。
すっかり忘れて焦ったけれど、どこかで失くしてきたわけではなくて本当に良かった。

同じような思いは空港の保安検査場でもしたことがある。身に着けているものを一旦バッグの中にしまって保安検査を通り抜けるのだけれど、その時も特に意識せずにバッグの中に放り込むから、取り出すときにぱっと見つからないと焦るものである。
大抵入れる場所は決まっているのに、そういう時に限ってちょっと違う場所に入れていたりするんだよな、なぜか。後は、別のもの(特にポケットティッシュ)が邪魔をして見つからないとか。保安検査場を出てすぐ元に戻そうとして、なぜか腕時計が見つからなくて5分くらい探してしまったことがあったけれど、「あるはずのものがない」というあのぞっとする感覚は本当に嫌なもんだね。

しかしまあほんと、記憶というのは当てにならないものである。これは覚えておこうと念を押すように反芻した物だって、時がたてばコロッと忘れてしまったりもする。逆に、どうでもいいことを細かく覚えていることもある。
ただどの場合も確実性というのは薄いものだ。80%くらいはちゃんと覚えているのだけれど、細部を念押しされると弱い。本当は100%合っている物だとしても、ちょっと間違っているのではないかと疑うので結果80%位の解像度になる。メモなり写真なりの確たる証拠がないとなかなか確実性というのはないものだ。
「今使っている物と同じやつを買いに行く」なんて場合は写真を撮っておかないと、いざ売り場に行った時に似たようなものが並んでいるとわからなくなってしまう。何度も買っている物であれば大抵大丈夫だけれど、それでもたまに間違えるからちゃんと記憶の代わりに記録で用意をしておいた方が確実である。
まあたまに、リニューアルでパッケージが変わっているだけ、なんてこともあるけれどね。

記憶なんてあまりに適当なものだからほんと、できるだけ意識をしてものをしまいたいものだし、記録できるなら記録しておく。これに尽きるね。
そういえば、最近家の合鍵をしまい込んだ場所をすっかり忘れてちょっと探すということもあった。一度見つければ次からは割と忘れにくいんだけどな。一時的にしまったとか、しまい込んでから最初の探す機会とか、ほんとそういう時は弱いね。