言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

毛布

寒いので毛布を掛けて座っているようなことが多くなった。毛布は暖かい。なんとなくうっすらと寒いなと思ったときにはとりあえず毛布で様子を見る。そのうち温かくなってきて、これでいいや、となったらもう動けない。そう、毛布を掛けてしまうと動けないのだ。我が家にはこたつがないけれど、毛布がある。こたつのように熱源が他所にあるわけではなく、自分自身の身体が熱源となるわけだがそれでも十分あったかくなるのだから面白いものである。熱を逃がさないことがよい事なんだろうな。
毛布を掛けて座っていると、トイレなどで途中で席を立つのが惜しくなる。一枚掛けているだけで別に重さもさほどないのにもかかわらず、毛布をめくった時のあのちょっとした寒さがわかるだけに、立ち上がるのをやめてしまう。毛布でこれなんだから、こたつなんてもっとだろうな。もっと立ち上がりたくなくなるんだろうな。欲しいけど導入したら離れられなくなっちゃうのでやめとこう。

とにかく冬ってそういう季節だよな。とにかくじっとしていたくなる。動きたくない。トイレなんて特に寒いし、行きたいのはわかっていても何となく先延ばしにしてしまったり。身体に良くないってのはわかるんだけれど、ちょっとやそっとでは動きたくないという意思が働く。寒さには勝てない。
考えてみれば、布団からだってあんなに出たくない気持ちになるのだから毛布だって同じだよな。温まれば温まるほどその落差に震えてしまうんだ。

夏もクーラーの効いた部屋から出たくないという意思が働くけれど、さすがにその場でじっとしていたいとまでは思わないかな。部屋の中で動き回るのはおっくうではない。冷蔵庫まで行って飲み物を取ってくるくらい全然平気。激しく動いたりすればそりゃあ暑くなるけれど、それは冬だって同じだ。夏は涼しい部屋の中で動く分には全然大丈夫。涼しいショッピングモールに入っていくあの瞬間はもう最高に気持ちがいい。そして熱々になった屋外の日よけのない車の中に戻る瞬間はこの上なく嫌だ。
その点もう冬は全然動かない。一歩たりとも動かない。寒さは足先と指先で特に感じるから、縮こまったりしてますます動きづらい。そんなもん。寒いことを知っているからこそだ。
ああでもあれだな、「動いている方がマシ」という状況もある。身体を温める手段が他にない時がそう。海沿いのでかい駐車場で並びながら夜明けを待つなんていう冬のコミケの待機列みたいなところでは、どんなに手を尽くして防寒したって足りない時は足りないからな。雨が降るってのは時に雪よりもしんどい状況を作り出すね。それからあの冷え切って寒くなった後に暖房の効いたところへ急に放り込まれると、最初はいいんだけれどだんだん身体が変になっていくわけで。寒暖差にやられてしまって暖かいのに逆に鼻水が止まらなくなったりとか、まあなんかこう、大変だよな、寒いのって。
毛布でじっくり温めるのってちょうどいいんだよな、そういう意味では。まあまああったかいな、とか思っているうちにだんだん抜け出せなくなるのが毛布だ。いつでもめくって飛び出せるぞと思いつつ、いつまでもはぎ取れない、それが毛布。