言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

彼岸花の季節

 

彼岸花の季節がやってきた。今年は少し遅いのだろうか、ようやく今のあたりになって満開になったらしい。

例年は9月の20日頃に見ごろを迎えることが多いのだけれど、やはり気象麺との兼ね合いもあってか、10月にずれ込むことも多いらしい。そういえばもう今日は9月の末尾なのである。時の流れるのは速い。いつもより遅いんですよ、と言われながらもあまりピンと来ていない自分の、その時の流れのギャップには驚くばかりである。


彼岸花は、個人的には華があるタイプの花ではなくて(なんだこのよくわからない表現は)、どちらかというとしみじみと良さをかみしめるような、そんな花であると思っている。このくらいの季節になると道端にポツンと咲いている姿や、畑や水田の畔のところに群生している姿をよく見るものだ。それ以外にも群生地と呼ばれるような密集してたくさん生えているような場所もある。面白いのはその多くが栽培されているものではないことである。球根植物なので植わってしまえば何年も自然に生えてくるらしく、群生地の多くも河川などの働きによって(場合によっては土石流なども相まって)一か所に集まって咲くようになった場所であったりするらしい。もちろん球根植物であるがゆえにいろいろなところで栽培しやすく、また有毒であることから畑の周りに小動物除けとして植えたりしたこともあるそうなので一概には言えないが、自然のもたらす働きというのは時にこうした面白いものをもたらしてくれるものなのかもしれないと考えると、なんだか不思議な気持ちにさせられる。

去年はそんな彼岸花の群生地に足を運んでみたりした。やや遠方ではあったが、ちょうどJRの1日乗車券を買っていたので(休日お出かけパス)足を延ばしてみた、というわけだ。
少し盛りには早い、まだ咲き始めの時期だった。雨が少し降っては止み、また降って、という天気だったこともあってかあまり人はいなかった。最盛期で天気の良い週末は、三脚に一眼レフといういでたちの写真撮影愛好家がたくさん訪れるらしい。その日は全然人がいなかったけれども、盛りの頃にはかなりの人が押し掛けたようである。


彼岸花には人が少なく雨が降っているような空の色もよく似合うと思う。もちろん、赤い花弁に青い空は良く晴れると思う。秋の空は夏よりも澄んできていて、青さがより鮮烈に見えるから。森の中の緑と、青い空と、赤い花弁。華やかさはきっと晴れた日にとてもよく映るだろう。雨の日の彼岸花はどことなく物哀しい。でもその哀しさもまたいいものだと思う。

彼岸花は花が咲くときには葉がないという珍しい植物である。
葉がなければ光合成が行えず、それならば枯れてしまうのではないだろうか、と思ったこともあるのだが、よくよく調べると栄養素はすべて球根に蓄えているらしい。花が咲いた後に葉を出して、光合成をおこなって栄養をため込んだら葉を枯らし、球根だけになる。翌年またその球根に蓄えた栄養素を使って花を咲かせる。
生存戦略なんだろうな、きっと。