言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

柿を丸ごと食べる


柿を丸ごと食べてみたいな、と思っていた。
別に深い理由はない。なんとなくだ。切り分けず、皮も剥かずに適当にかじって食べたらどんな感じなんだろうという興味本位である。
皮が薄い果物と言うのは大抵かじりついて食べられる。リンゴのようにそのまま食べてしまってもいい場合もあるし、皮は食べずに捨ててしまった方が良いものもある。りんごは皮ごと食べられるかもしれないが、例えば梨なんかは厳しいだろう。試したことはないが、あの皮はなんとなく食べるものではないような気がしている。
桃は無理だ。これは試したことがある。そもそもかじりついた時点で、産毛みたいな部分が口の周りで擦れて違和感がすごい。でもまあ桃のように果肉の柔らかい果実であれば、ちょっとしたきっかけを作ってあげれば手である程度皮をむくことができるので、丸ごとかじりついて食べるというのは簡単にできる。あれは食べ応えがあるし、水分が多くて旬の時期にはちょうどいいデザートになる。ただし、めちゃくちゃ手がべたべたになるのと、服についたら色が落ちにくいので注意する必要がある。できるならばちゃんと皿や袋なんかを用意して食べるべきだ。まあそもそも皮をむいて切り分けて食べたほうがいいのは言うまでもない。

その流れで、柿である。
柿の皮と言うのは硬い。そしてもちろん、食べるものではない。干し柿だって皮をむいてから干す(剥かないと乾燥しない)。
しかし、調べてみるとどうも皮を食べても害はなく、むしろ栄養が豊富だという情報が出て来る。栄養を余すところなく摂取するにはむしろ食べたほうがいいとまで書いてあるが……どうなんだろうか。そもそも柔らかい皮ではないので、そう気軽に食べられるのだろうか? という疑問が残る。

なので、実際にやってみた。
特別な柿ではなく、旬なのでたくさん出回っているいたって普通の柿である。種なしのものがたくさん売っていたのでそれにした。
硬くて四角いタイプの種なし柿を選んでしまったので食べごろが全然わからず1週間近く冷蔵庫に放置されていたのだけれど、いい加減変化もないしもう食べごろなんだろうと思って、食べてみた。
皮が付いたままの状態で歯を当てる。硬い。硬いけれど、一応かじれないこともない、リンゴとかに比べたら全然硬くはないけれど、厚みがあって変な感じだな、と思っているうちにかじることに成功した。
ちゃんと柿の味がしてほっとした。食べごろだった。ちゃんと美味しい。ただやっぱり皮は食べにくい。というか皮単体なら食べれなくもないのだけれど、実が混ざってくると皮の異物感みたいなものがすごくある。皮しかなかったら皮を食べるけれど、別に積極的には食べたくない感じの味という感想である。
これはあれだ、枝豆の皮によく似ている。枝豆の皮と言うのは硬い殻のような部分と筋を外すと食べることができるのだけれど、別に積極的に食べなくてもいいかなという感じの味がする。あれと同じだ。ゆっくり暇なときにぼんやり食べる分にはいいけれど、中身の柔らかい実の部分には圧倒的に負ける。これしかなかったら食べるけど……後には続かない。柿の皮も同じだ。
むしろ、皮が混ざることによってせっかく柿を食べているのに、身をたくさん頬張っているような感じがしない。おまけに実と皮がくっついていて離れて行かないので、皮を無理やり剥いて食べるというのもできない。

柿は皮をむいて食べたほうがいい、というのが私の結論である。包丁を使わずともピーラーで剥けるレベルの硬さに感じたので、今度ちょっと試してみようと思う。
ただし、皮も皮だけで適当に食べる分には素朴な美味しさがあるというのは発見だった。新鮮で綺麗な柿が手に入ったら、皮をむくついでにつまみ食いしてみようと思う。綺麗なやつだけにしたいけれど。