言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

アンテナショップ


アンテナショップみたいなところに行くと、いろいろ商品が並んでいて目移りするものの結局何も買わずに出てくる、ということがよくある。見て楽しむ分には結構面白いのだ。旅行先のお土産屋を眺めているような感覚で、そういやそんなものもあったな、とか、これも特産なのか、とかいろいろ見て回ると楽しい。楽しいが、そこはやはりアンテナショップというわけで、旅行中ではない。なので「今度実際に現地に行ったら買おう」みたいなことを考えるだけにとどまってしまうわけである。
大抵何かの時間つぶしに入るようなことが多いので、重いものやかさばるものはそもそも飼っていきたくないというのはある。お酒とか特に手に取って買う寸前まで行くことがあるけれど、瓶はやっぱり重いからとやめてしまうわけである。
ちろん例外はある。明確に買うものが決まっていて入る場合は、そりゃあもう普通に買って帰る。北海道のアンテナショップなんかがまさにそうだ。八重洲の地下街の奥にある北海道アンテナショップでは結構買い物をする。あそこは買うものが決まっているからだ。どうせ年に2,3回北海道に行くのだとしても、それでも現地に行くよりもこう頻度で欲しいもんがある場合は、普通に買うわけだ。カツゲンとか飲みたくなるんだよ、急に。あと美味しいイカの三升漬けとか。
あんまりお土産っぽくない、日常生活でふとした時に欲しくなるものを買いに行く分にはアンテナショップというのは非常に便利な場所である。

まあそもそも結構こういったお土産っぽいものは当たりはずれがあって難しいのだ。値段も安いわけではない場合が多いので、すごく好みのものであれば良いけれど、そうでないものに当たる可能性だって普通にある。好みの問題というのもあるだろう。口に合う合わないというのは、本当は試食なり試飲なりをしてからが良いわけだが、このご時世それができないのもなかなか判断を難しくしている要因である。
知らないものを買ってくるというのはなかなか難しい行為だけれど、アンテナショップというのであればなおさらだ。あの場はだいぶ、玉石混交である。
食べ物じゃないものでなにか買う方がずっと簡単かもしれないが、あいにく私の場合はあまり工芸品・民芸品の類には興味が薄いということもあり、ほとんど何か買ったことはない。プレゼント用の焼き物としてお猪口を買ったことがあるくらいだ。でもまあそれも旅行中に買ったものであるから、アンテナショップでは本当に食べ物以外は全然買ったことはない。見る分には楽しいのだけれど。

この間、舞台鑑賞の前の空き時間に寄った奈良県のアンテナショップでは、お茶のパックを買って帰った。和紅茶とトウキ(当帰)のブレンドティーというものだ。真夏も含めて暖かいお茶などを飲むようにしているのだけれど、普通の緑茶を基本としつつ他の変わり種を多少挟みながら楽しむようにもしている。
その一環で買ったのだけれど、この和紅茶とトウキという組み合わせが思ったよりも良くて、またアンテナショップに言ったら買おうとそう思っているところだ。トウキは普通、根を生薬として利用するのだけれど、葉を煎じて飲むのも結構美味しいものだ。セリの仲間なのでさわやかな香りがあっていい。
ジャンルとしたらもしかしたら中国系のハーブティーの一つということになるのかもしれないけれど、和紅茶(要するに国産紅茶)との組み合わせだとかなり和風な雰囲気に香りが寄っていて面白い。何より身体が温まっていい感じだ。

こういう発見があるから、たまに何かアンテナショップで物を買うのは面白いものである。
無駄遣いを制限しようと財布のひもを固くしているところではあるけれど、ちょっと余裕のある時に1,2品何か買おうかな……という感じで入るアンテナショップ、それがたぶん一番面白いのだろう。