言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

消毒液


「買い物に行くと必ずと言っていいほど目にするのが、消毒液である」という文章は、2020年の今頃までであれば「いやいや言い切るほどじゃないだろう」くらいのものだっただろうが、それから1年経って特に違和感のない文章になってしまった。本当にどんな店に行っても置いてあるし、なければ逆に探してしまうほどである。本当に「置いて」はおらず、その代わり店の人が直接吹きかけてくれるタイプのものもあるがまあそれもまた同じような話だろう。

とはいえ全く置いてなかったわけでもない。インフルエンザ予防のためにアルコール消毒液が置いてあるという光景はそれなりに見られたものだった。職場にも入り口に置いてあった。暗証番号をテンキーで入力するタイプのセキュリティが備わった職場だったので、そうするとまあ不特定多数が同じ画面と同じドアノブを触ることになるわけだから、ちゃんと消毒してくださいね、というような説明を受けた記憶がある。
私の場合インフルエンザと結膜炎に同時に罹ったこともあり、ずいぶんそのあたりはちゃんとやっていたように思う。トイレがセキュリティエリア外にあるという謎仕様だったため、帰って来るたびに使っていたら手が荒れた。

インフルエンザ対策が主で、それからノロウイルス対策というのもあったと思う。大体11月末くらいから2,3月くらいまでの寒い季節がインフルなりノロなりの流行期間であるから、冬の期間限定の光景であったともいえるだろう。
とはいえ、あくまでそれは職場での光景であった。飲食店のトイレの洗面台とかに置かれているのは目にしたことはあるけれど、なかなかあらゆる店先に置かれていて、それを使って必ずみんな入るというような、そんな光景はあまり見られなかったと思う。どちらかと言えば、使う人が少なすぎてほこりを被っているような感じですらあった。気にしている人は気にしている、くらいの温度感だっただろうな。受験生とかは結構気を使っている場合が多かったかもしれないな、そういや。昔予備校で模試を受けた帰りに、消毒液をボトルで貰った記憶があるな、そういや。

そんなくらいのものであったが、すっかり今では必須アイテムである。
大型商業施設の入り口などは、空港の手荷物検査場のごとく何列かに分かれて使えるように整然と並べられているのを見た。そうなってりゃちゃんと素通りせずにみんな並んで使うから面白いもんだ。
ただまあ入場時に人が待ち構えていて、「はい両手を出してくださいね、消毒しまーす」みたいな感じで吹きかけられる場合ってのはいまだに直前で慌てるね。すごい寒い地方とかで手袋とかしていたらもっと慌てるだろうな、とか思いながらも、普通に買い物途中とかで荷物が多いと、両手のひらをそう簡単に見せることができずにもたついてしまうわけである。わかっていて事前に準備しないとなかなか無理だ。発熱症状がないかどうか等の確認用紙と同時に行うところがあってそれはさすがにいろいろ無理だったけどさ。

一時は消毒液もずいぶんと品薄になったものだけれど、マスクと同じくらいの時期だっただろうか、ちゃんと通常通り店先に並ぶようになって本当によかったと思う。アルコールだと思って吹きかけたらアルコールじゃなかった(次亜塩素酸水とか?)時は、ちょっと微妙な感じになったしね。直接手に取っていいものなの? みたいな。アルコール以外は触った感じでは成分とかよくわかんないし。水にすり替えられていてもわからないかもしれない。そういう意味でも普通に売られるようになって良かったと思う。ものによってはめちゃくちゃ手が荒れたし、結構よくわかんなにものが使われてたんじゃないか感はある。もともとアルコールでやられている場合はあるけども。

外出すれば必ず目にするようになったアルコール消毒液。コロナとか関係なくなっても習慣として残っていきそうな、でもまあコストもかかるしあっさりなくなりそうな、どっちになるんだろうかね。