言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

隠れ家的な店


会社の近くのビルの地下に、ひっそりとたたずむ店がある。 夜はワインバーとして様々なメニューを取り揃えている店だが、 ランチメニューはポークカツレツの一種類だけ。

もともとは夜営業しかしていなかったようで、 GoogleMapの店舗の営業時間を見ても未だに夜だけが営業 時間として記載されている。私もその情報を見ていたので、昼、 店の前を通った時に明かりがついているのを見て訝しんだものだっ た。はじめは仕込みでもしているのかと思ったけれど、「 ポークカツレツ」と看板が出ているのを見て、 これは営業しているな、といよいよ確信したのである。

店に入って椅子に座ると、すぐに
「ポークカツレツでいいですか?」
と声をかけられる。
初めて行ったときは「ポークカツレツしかないですけど、 いいですか?」と聞かれたので、 もしかして他にもメニューがあるけれどもうポークカツレツしか残 っていないという意味なのか、と思ったりもしたけれど、 どうやら他にメニューがないことの確認であったらしい。 お願いします、 と言うとあとはご飯の量くらいしか伝えることはない。
だから当然、 ポークカツレツの在庫が無くなればそれで店じまいのようで、 13時にお昼ご飯を食べに行くともう店じまいをしていたり、 最後の1人になったりと、 結構ぎりぎりの所で食べられたり食べられなかったりしている。 天気の悪い日は大抵食べられるような気がするかな。
自分が注文して数分後に入ってきた人に「ごめんなさい、 もう今日の分は終わってしまいました」 と声をかけているのを見ると、 なんだか申し訳ないような気持ちになると同時に、 今日はラッキーだったな、と思ったりもする。

当然のことながら、提供されるポークカツレツは非常においしい。 フライパンで揚げ焼きされてアツアツで提供される。 そして薄い豚肉を使っているからか2枚も出てくる。
そういえばシュニッツェルという、 ドイツやオーストリアで食べられる料理があるけれど、 あれに非常によく似ていると思う。 シュニッツェルも薄い豚肉にパン粉を付けて揚げ焼きにする料理だ 。ポークカツレツとの違いは……なんだろう、よくわからない。 ポークカツレツ≒シュニッツェルのようなものだろうか。
トンカツとは明確に違う。 同じように豚肉を使ってパン粉でまぶして揚げるわけだけれど、 豚肉の厚さや使う油の種類、 それから基本的にカツレツの類はフライパンで揚げ焼きにされると いう点。あとは提供される料理としても、 少しおしゃれでモダンな雰囲気がある。 トンカツと千切りキャベツ、というのと、 ポークカツレツと野菜のサラダ、 というのではそこまで大きな違いはないように思えるけれど、 カツレツになると急におしゃれになるのはなんというか、 面白いものだ。
ポークカツレツの場合はソースではなく塩コショウとあとは粉チー ズとレモン、それにいくつかのスパイスとか。 それをナイフとフォークで切り分けて食べる。 昼から贅沢をしているようなそんな気分だ。 濃い目に下味が付いているから意外とご飯にもよく合う。

ただし本当に何時に店が閉まるかわからないので、 店の前まで行ってみてもう終わっていた、 なんてこともざらにある。まあガチャみたいなものだ。 開いていたららっきー。空いていたらラッキー。 ポークカツレツが残っていたらラッキー。
たまの運試しのようなものである。