言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

食べ方のよくわかっていないもの

先日、店でおすすめされた勢いで松茸の土瓶蒸しを食べる機会があった。これまで食べたことのない料理だった。「松茸」「土瓶蒸し」というワードが高級感の塊という感じだったけれど、値段が想像していたよりも高くなかったということもあり頼んだのだ。
初め、食べ方がわからずに苦戦したが、仲間内でのことだったのでスマホで食べ方を調べながら食べた。めちゃくちゃ美味かった。
食べ方の難しいものだったり、特殊な食べ物は最初に仲間内で体験しておくに限る。いきなりちょっと偉い人とかと食べることになって、よくわからないです、というのはなかなかハードルが高い。まあ多分相手にもよると思うんだけど、食べ方を知らないんです、と素直に伝えて教えてもらうというのもそれはそれでいいんだと思うけれども。社会人スキルが足りないのでその辺がよくわかっていない。
ただまあ土瓶蒸しに関して言えば、一度食べ方がわかってしまえばなんてことはないものである。ああやってある程度の「正解」があるものはわかりやすくていい。忘れなければ次もまあ同じようにできるから。たぶん。

食べ方がよくわかっていない食べ物と言えばカニである。そもそもあまり食べる機会がない。季節からしても冬が中心だろう。だからいつもうまく身を取り出すコツだとか感覚だとかを毎シーズンすっかり忘れてしまうし、大体そんなコツなんかを身に着けたかどうか割と怪しいところでもある。カニの食べ方に「正解」ってのはあるんだろうか。
足の部分でも、なんか美味い事真っ二つに折るときれいに身がするすると抜けるということもあったりするが、たいてい中に身が残ってしまっているとか、そもそも取り出せないとか、そういう目に合うわけである。コツがわかっていないからいつもまぐれである。うまくいくときもあればダメな時もある。甲羅の部分はそもそも正しい食べ方を知らない。
偉い人とカニを食べに行くときはどうしたらいいんだろうな。偉い人とカニを食べに行くような仕事してないけど、偉い人が仕事関係者とは限らないからね。
カニだけじゃなくエビのきれいなむき方というのもいまいちわかっていないところがある。カニと違って殻が硬くないから力づくて適当にむしっているけれど、高級な料理の場合は別の作法がありそうな気がしてならない。たぶんあるんだろうな。お造りとかに乗っている頭としっぽが付いているエビも同じく。
こうして思うと、知っているようで実はよくわかっていないものというのは結構あるものである。いつも我流というか適当に済ませていて、ちょっと正式な場であるとか、大事な場に出て初めて、これって正しくはどうやるんだ? と思ったりするわけである。
何事も経験というか練習というかそういうことなんだろうけど、高級料理じゃなかなか練習もできないよなあ。
まあでもたぶん、高級じゃなくたって食べ方がよくわからない食べ物はきっとある。普通にあると思う。こういうものって目の前にして、いざ、という時に思い出すものなのだ。わからないことを思い出すという、意味のない思い出し。前も悩んだよな、という思い出し。
意味ないね。でもまたやるだろうね、忘れてるから。