言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

松のやを見つけた話

松屋の系列に松のやという、トンカツを扱う店がある。この間、久しぶりにその看板を見つけて中に入った。

そういえば、昔は「松のや」じゃなくて「松乃屋」じゃなかったか? と思って調べてみたら、どうも古い店舗は漢字表記で、新しい店舗はひらがな表記らしい。看板の表記のもんだのようで、別に中身は変わらないようだ。ちょくちょく道すがらで見かけることはあって、最近全然行けていなかったので、丁度良く店を見つけて非常に嬉しい限りである。

550円でロースかつ定食やかつ丼が食べられるので、一時期結構通っていた時があったな、と思い返してみたけれど、よくよく考えてみると高校3年の受験期のことだったのでそんなに前のことだったかと驚いている。

ずいぶん懐かしい話だ。

受験期直前の冬と言えば学校の授業もなく、毎日予備校に行って講習を受けたりなければ自習室にこもったりするような日々が続いていた。楽しみと言えば昼食である。松乃屋にはずいぶんお世話になった。

当時の値段はいまいち覚えていないが、今でもある「親子ささみかつ丼」というやつが当時は一番安く(500円だったか、もう少し安かったか)、それとロースかつ定食ばかりを食べていた記憶がある。「親子」なので卵と豚肉じゃなくて鶏肉になるのだけれど、これが案外美味いのだ。しかも豚よりも量が多い。学生にはぴったりのものだ。

500円くらいだったとはいえ、かつ丼やとんかつを食べているとなんとなく悪いことをしているような、贅沢をしているような気持になった。一人で外食をするということも普段あまりなかったし、ちょっと特別な時間だったことは間違いない。

懐かしい気分のまま、今日は昔のように親子ささみかつ丼を食べた。たぶんこんな味だった。途中から七味をかけると味が少し変わっていいんだよな。相変わらず漬物とかはないんだよな。でも松屋と同じような味噌汁が付いてくるからそれはそれでいいんだよな。

昔から2枚乗せだったかな、とかいろいろ考えつつ、かなりお腹いっぱいになった。普通のかつ丼よりもボリュームがあって、今だったらもっと少なくていいかな、と思ってしまった。

食べ盛りはもう終わっているのだ。当たり前のことなんだけれど、ちょっとだけさみしくも思う。

調べてみたら昔よく行っていた店舗はもう閉店しているらしい。というかそのあたりはもう、今訪れるとすっかり様子が変わっていて、最近は行くたびにあれが無くなってあれができて、と驚くことばかりだ。

変わるものと変わらないものと、いや、変わっているけれど変わっていないと思っているものかもしれないものと。