言葉のリハビリ場

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GWを棒に振った年の思い出

GWを棒に振った年があった。いや、昨年もいろいろあって後半を棒に振ったのだが、もっと前にに派手に棒に振った年があったのだ。

それは「新型インフルエンザ」が流行した2009年の事。


その年の私は既に冬にインフルエンザにかかっていた。インフルエンザA型である。当時学生であった私は、学校内というかクラス内で大流行していたインフエルエンザにやられて数日学校を休んでいる。
インフルエンザは最悪だ。普通に学校を休むことは別にどうという事はなく、むしろ嬉しかったくらいだが、それ以上にインフルエンザはキツイ。それに当時は運動部に所属していた私にとって、1日どころか3日も4日も動けないというのは大変なことであった。ただでさえきつい練習なのに、あっという間についていけなくなってしまうからである(上手くなりたい的な欲求でないのが実に私らしい)。毎日継続しているからこその練習であって、それが数日休めばウォーミングアップの時点でへばってしまうくらいのことである。練習について行くのに3日、元の通りに動けるように調整するのは2週間。であるからこそインフルエンザでもなんでも一度かかると本当に面倒くさいのである。

でもまあインフルエンザなんてのは基本的に流行るのは冬である。運動部の大会はだいたい夏がメインと相場が決まっている。私の部活でもいくつか例外はあったものの、インフルエンザが大流行する12月-2月あたりには特に大きな大会もなく済んだのだが、そういうこともあって完全に春になってからは油断していた。


だが、やつはGWにやってきたのである。


2009年4月。アメリカとメキシコで新型インフルエンザの発生が確認され、またたく間にその流行は世界中に広がっていく。後から考えればそこまでのパンデミック感染症の世界的流行)とまでは行かなかったようではあるが、鳥インフルエンザの問題等でかなりインフルエンザ自体に過敏になっていた日本国内では、かなりの重大事項として受け取られ、報道がなされた。

国際空港の検疫を強化して水際作戦を行うとかでサーモグラフィーを用いて発熱を感知するような仕組みを緊急的に作るなどしたのも確かこの頃だったか。とにかく国内に侵入させまいとして躍起になっていたわけである。
そうしてとうとう5月9日、カナダから帰国した高校生3人が感染していることが確認される。これが日本で初の感染確認ということになっている。彼らは感染の拡大を防ぐために緊急入院させられて、そのことが大きく報道されたりもした。そんな措置もあったものの、5月16日には渡航歴のない学生の感染が認められるなどあっという間に国内での感染が拡大していったのである。

これが原因で、修学旅行などで京都を訪れた学生が、タクシーを使って車の中からしか観光ができなかった、とか、とにかく大きな事象として扱われていた、そんなインフルエンザだった。


さて話は私に戻るわけだが、先にも述べたようにもう既に1月頃にインフルエンザA型にはばっちり感染したため、同年のインフルエンザ感染は考えにくい状況になっていた。かかってもB型であろうし、だいたい通常のインフルエンザは高温多湿が苦手なものである。GWにもなれば気温もあるし雨も降るから普通に湿度はある。

その日は確か5月の3日くらいだったと思う。なんだか調子が悪い。寒気がするので熱を測ったら結構高いし、だんだんぐったりしてきてしまったので、慌てて病院に行く事になった。
熱はその後もどんどん上がり、身体の節々はどんどん痛みだす。症状はまさに1月に体験したインフルエンザA型そのものである。でも半年間経たないうちに、しかもこんな季節にかかるのか? と思ったものの、テレビでは連日新型インフルエンザの報道である。

まさか私はこの新型インフルエンザに感染した第1号なのでは?

嫌な考えが頭をよぎる。緊急入院だろうか。隔離されるのだろうか。テレビが来て放送されるのだろうか。足取りを晒され、注意喚起が行われるのだろうか。

病院で検査を受けている間中、ずっとそんな事を考えていたので気が気ではなかった。


検査結果は陰性だった。ただし、限りなくインフルエンザの可能性が高いということで、インフルエンザ用の薬が処方された。
今はどうだか知らないが、当時はインフルエンザの判定と言うのは熱が出た直後ではほとんど出来ないのであった。だいたい発熱から12時間後から48時間後の間に検査を受けるのがベストであるという(48時間以内に薬を飲まないと効果が出にくいというのに)。それを完全に失念し、発熱3時間後くらいに検査したので当然出なかったわけである。

受診したのは小さな病院だった。GWである。開いている病院も限られていたのだ。いつのいく病院でもないし、一応1月にインフルエンザになったことは伝えたものの、いまいち要領を得ない回答しか返ってこない。
新型インフルうんぬんの話しなど一切なく、普通に家に帰されてしまった。


私が掛ったのはおそらくインフルエンザだった。症状的には完璧にインフルエンザだった。ただ、診断は下りなかった。
だからある意味助かったのである。5月6日に「最初の新型インフルエンザ感染者」が「海外渡航から帰ってきて発覚する」よりも3日前だったからである。うっかり診断されていたら大変なことになっていた。

ちなみに私はその秋、9月の末にもインフルエンザになっている。今度はちゃんとインフルエンザA型であると診断された。1年に3回のインフルエンザである。本当に勘弁してほしい。

1月にインフルエンザA型。9月にもインフルエンザA型。インフルエンザは単一ウイルスではないからちょっと違ったインフルエンザにかかってしまうことも稀にあるという。

では、5月にかかったインフルエンザは何だったのか?
新型だったのか? B型だったのか? それともA型の亜種か何かか?

5月の中盤から6月にかけて新型インフルエンザはかなりの流行をみせた。その先駆けになってしまっていた可能性は十分にあると思っている。


そんなわけでまあ、GWはインフルエンザによって棒に振ってしまったわけだが、困ったこと(?)に、学校は1日しか休まず行けてしまったのである。9月のインフルエンザもそうだった。シルバーウィークとかいう連休があって、その連休全部をインフルエンザに費やすという運のなさ。
ついでに部活の大会もそのせいで出れなくなった……はずだったのだが直前にインフル離脱者がでて急きょ白羽の矢が立つとかいう良くわからない展開もあった。良かったのか悪かったのか未だにわかっていない。

でもこれだけは言わせてほしい。そんなことで有名にならなくて本当に良かった。

無事に今年はGWを乗り切りたいものである。