言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

夜景と山登り

夜景を見ようと思ったら、高いところに登る必要がある。さらにそれは当たり前だが夜でなくてはならない。例えば都会ならばそれは東京タワーとかそういう所に登ればよいわけだが、必ずしもそれだけが夜景スポットではないだろう。

例えばそう、山の上。山頂展望台というのは昼間の眺めも良ければ夜景観賞スポットとしても有名である場合が多いのである。
山と言っても、高さがある場合はそれこそ「登山」となるわけだが、そこまでして登る山は流石にハードルが高いので、自然と昼に普通に登れるような山つまりほぼ丘のような場所に出かけるのが一番簡単、となるわけだ。
だいたい富士山だとかそういう高い山は夜景ではなく、その先の日の出つまりご来光を拝むべく夜に山に登るわけで、そもそも目的が違う。

しかしまあ、夜の山登りは怖い。
まず人がいない。当然だ。夜、暗くなってから山を登ろうと思う酔狂な輩は少ない。大抵山登りの序盤は森林浴みたいなものなんだから、夜は明かりなんて一切ないし、月明かりすら入り込んで来ないようなうっそうとした森の中を少しずつ登っていくような場所だったりする。近くでごそごそと音を立てるのは何か小動物だろうか。そんな事をを考えながら、ライトで足もとを照らして歩いて行くわけだが、その過程に恐怖を覚えるのは自然な事だろう。足もとが舗装されているわけではないし、ガードレールがあるわけでもない。昼間は落ち葉で覆われた道というのは何とも良い雰囲気を醸し出しているものだが、夜となれば滑ったりつまずいたりしないかと不安を増大させる要素の一つにすらなりうる。
実際、こういった場所では滑落等の危険があるため、夜の登山は遠慮するようにと看板が経っていたりする。それはあくまで昼間も含めて登る人が多いような山に限定されていたりするのだけれど。

だから1度明るいうちに登ったことがある。運の悪いことに6月の一番日が長い時に登ってしまった。そうしたらすっかり暗くなるまで4時間くらい掛ってしまってびっくりしたもんだ。天気もいいし眺めもいい。だからこそ遠く水平線まで見えるのでなかなか日が暮れてもなお遠くがうっすらと明るいのだ。

私はああいう橙から群青に移り変わる空の色が好きだからずっと見ていられたが、夜景を撮影しに来たカメラマンとしてはなかなか心中察するものがある。

夜に限らず高いところから見る景色はとても好きだ。それでもやっぱり夜景は特別。
だから例えば函館山の山頂とか、姨捨のSAだとか、そういう、歩いて登らなくて済むようなところにも出かけるのだ。でもどうしてかたまに、足を使って登りたくなってしまう。何故だろう。

夜景には不思議な魅力、いや、魔力がある。