言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

油そば

ほんのつい最近まで、油そばと言う食べ物を食べたことがなかった。もちろん存在は知っていた。けれどもどうにも手が出なかったのである。

ラーメンは好きである。非常に好きである。好きすぎるがゆえに、つけ麺に手を出すのが遅くなったほどだ。油そばも全く同じだ。週に数回ラーメンを食べるがゆえに、他に手を出す気にあまりならなかったのだ。その選択肢につけ麺が加わったのはここ5年くらいの話だ。食べてみて結構うまいじゃん、なんて思ったのがきっかけでラーメンとつけ麺が並列した選択肢になった。

食わず嫌いをしているわけではない、と思う。嫌いだと言った覚えはないし、たぶん美味いんだろうな、とは思っていた。しかしどうも選択出来ない。
冒険したい気分の時は期間限定メニューに挑戦するが、そうでないときは「〇〇屋の〇〇を食べよう」と店に来ているからか他のものに手を出すことはあまりない。そういった性なのだ。店を開拓するのも好きだが、あくまでそれは常用したくなる店を探しているわけである。ここに通いたいな、と思えば本当に通うことになる。だから毎日新しい店に……とはなかなかいかないわけだ。

そんなこんなで油そばにはとんと縁がなかったがために、最近まで食べたことがなかったわけだ。

足を運ぶことになったきっかけは至極単純であった。「油そばは食べたことがない」と何かの拍子にポロっと漏らしたら、じゃあぜひ食べよう、美味い店が近くにある、となって連れて行ってもらったわけだ。当初の「美味い店」とは違う店にはなったが、とうとう重い腰を挙げて油そばを初めて体験するに至ったわけである。

油そばとは要するに汁なし麺だ。一応ラーメンの一種であるらしい。酢やラー油を自分で掛けて、麺や具を全部混ぜて食べる。
それだけを聞いて「どこかで似たような物を食べたことがあるな」と思い至る。たぶん香港行きの国際線の機内食だ。ただしあちらはタレと言うよりはあんかけと言うか具と言うかそう言うものがかかっていて、それを混ぜて食べるものである。なるほど混ぜて食べる麺類とだけ聞けばハードルは低い。たぶん美味しいに相違ない。

とここまでひたすらにハードルを下げまくったものの、実際食べて見たらそんな心配は杞憂であったとわかる。普通に美味い。どこかジャンクだが、実に食べやすくて良いのである。酢の加減とか、ラー油の量とかそういうものがよくわからなくて適当に入れたのだがそれだけで美味かったのだから、油そばとは実に美味い食べ物なのだな、とやっとここにきて理解をしたのである。

困ったのは、油そばが食べられる店が家の近くにないことだ。職場とかの近くにあるかどうかはまだ調べていないのでわからない。通っていた大学の近くには何軒かあるらしいので、もう少し早く出会っていればよかったのかな、なんて今更思ったりもする。
なにはともあれ、ラーメン、つけ麺、そして油そばと新たな選択肢がここに加わったのである。

 

美味いは正義。