言葉のリハビリ場

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夕立とゲリラ豪雨

夕立と言えば、夏の風物詩である。夏によく発生するのはその暑さゆえで、日射によって暖められた空気が上昇気流となって積乱雲を形成することからも条件のそろいやすい夏によく起こるのであだ。これが夕方に起こるのは単純に午前のうちから日が照って気温が上昇しやすいため積乱雲を形成しやすいからであるらしい。確かに言われてみれば夜は涼しくはないものの日射による気温上昇はあまり起こらない。であるからこそ日射のピークである午後を頂点として気温が上がり、そのあおりを受けて積乱雲が発生するのである。


ところがこのところではとんでもない酷暑の日が多いためか、夕立やにわか雨というようなどこかやさしい単語では収まりがつかなくなっている。いわゆる「ゲリラ豪雨」という奴だ。狭い範囲で急速に発達し、局地的に豪雨をもたらす。これでは風流だなんだと言っていられない。身の危険を感じるレベルの大雨が降り注ぎ、まさにバケツをひっくり返したような水量で全身ずぶぬれだ。大気が不安定な場合も多く雷まで鳴りだしては、もう傘を差したところでどうにもならなく、ダメだ。そのくせ極めて局地的に降り注ぐものだからタチが悪い。下手をしたら隣町では雨が降っていないから、ゲリラ豪雨にあってから移動すると、なぜこのカンカン照りの日に川を持ってそのうえどこか濡れている奴がいるのだと怪訝な顔で見られるわけである。これは困ったものだ。もっとも、昨今ではこうしてゲリラ的に豪雨に見舞われることは珍しくないので、ああどこかで大雨が降ったな、くらいに思えるかもしれない。

まずいのは、雨が降りそうだということで対策は打てるのだがあまりに局地的すぎて本当に降られるかどうかわからない所だ。まったく降られない事もあれば、直撃してしまう事もある。もはや運みたいなものだ。当たるも八卦、当たらぬも八卦。できるのは直前までの警戒か、折り畳み傘の常時携行、そんなものだ。

他国、特に東南アジアなどではスコールと呼ばれる現象も良く起きる。熱帯地方ではより高温かつ多湿な気候であり、極端な熱帯気候ではない台湾のような地域でも猛烈な夕立のような形でスコールに襲われるのもしばしばだ。雨も激しければ風も激しい。前に台湾へ行った時は折り畳み傘を常に携行していたし、夕方になれば大抵こうした豪雨に襲われることはわかっていたので、この時間に屋外観光などは控えるようにしていた。


夕立という言葉自体は夏の季語だ。季語であり、古来からそう言った俳句なども詠まれている。決して現代にだけ起こる特殊な現象ではないのだ。もっとも、猛暑どころか酷暑と呼ばれる現代の方がより発生しやすくなおかつ激しくなりやすいわけで、風流だなぁと感じるよりは、夕立とは困ったものだな、と思う方が強いように感じる。そうして今日もまた大雨に襲われるわけである。


見てをれば 夕立わたる 湖水哉
               正岡子規