言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

立ち食いそば

ふらりと立ち寄って、カウンターに立ち、注文をするとほぼ同時に提供される。立ち食いそばは、いわゆる普通の「そば屋」とはまた違った世界を形成している食べ物のジャンルだと思う。

私はそんな立ち食いそばが好きでよく利用をしている。わざわざ立ち食いそばのために出かけることもあるくらいには好きだ。

しかしながら、小さな頃はそば自体がそんなに好きな食べ物ではなかったという事実がある。外食におけるそばは「腹の足しにならない」「そんなに美味しくもない」という位置づけで、観光に出かけた先の高価なそば以外は積極的に食べようとは思ってはいなかった。ではなぜ、立ち食いそばにハマったのか。

1つは「コロッケそば」との出会いである。

今はどうなのかは知らないが、コロッケそばは立ち食い以外でのそば屋ではあまりメジャーなメニューではなかった。存在は知っていたものの「ゲテモノ」のイメージが強く、昔ハマっていた某ゲームでも「意外と人気なんですよ〜」「私は嫌だ」というやりとりがあったくらいで、賛否両論ある食べ物だという認識だった。要するに食わず嫌いをしていたのである。

ところがそんな私にもひょんな事からコロッケそばを食べてみようという機会ができた。どこに行った時か忘れてしまったが、旅先で時間がなく、駅の立ち食いそば屋で朝ごはんを済ませなければならない時に、ふとメニューが目に入って注文をしてみたのである。するとどうだろう。コロッケの衣から流れ出した油とつゆが合わさってコクが深まり、また衣に染み込んだつゆとコロッケの相性が抜群によかったのである。天ぷらとはまた別の衣というところが良かったのかもしれない。またコロッケはジャガイモが大部分を占めており、つまりは炭水化物な訳で腹持ちがよくボリューム補完にはぴったりだった。こうしてコロッケそばは私のそば観を一変させた。

2つ目の理由としては、立ち食いそばならではの特徴だ。立ち食いそばは注文してから1分も経たぬうちに提供される。さっと湯がいてつゆをかけて具を乗せるだけだからだ。スピードのために、そばとは言いながらそば粉はいかほど含まれているものなのかはわからない。色々な意味で「そばっぽさが少ない」のである。そばでもうどんでもない「立ち食いそば」のそばなのだ(決して悪口ではなく褒めている)。

安い、美味い、早いの三拍子そろった立ち食いそばは、チェーン店であれば非常に画一的で、しかしチェーンごとにも違いがあってそれもまた良い。地域ごとの名物もある。我孫子弥生軒唐揚げそばや六文そばのゲソ天など特徴があって面白いものも一興だ。たまに「ハズレ」と感じてしまうものがあったとしても、安くて早いのだから致し方ない、と思えてしまう。また次に満たされるものを見つければ良いのだ。

過度な期待をせずに、気軽に食べられる。小さな幸せが一杯に詰まっている。