言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

今時そんな人って、いるんだね


ネットでよく見るトンデモ商品の広告を、本気で信じている人がいるのはまあまだ分からなくもないのだが、先日ついにそれを人に勧めている瞬間を見てしまった。
早い話がマルチ商法的なものの勧誘である。
デトックス効果のすごい高いサプリを飲んでるんだ」という言葉に、体調崩し気味の人が「どんなやつ?」と聞く。「これを飲んで私は4キロ痩せた」「血管年齢が若くなった」「ずっと体調がいい」「これを飲めばアレルギーも良くなる」と、どこかで聞いたことのあるようなテンプレートのような言葉の数々がずらずら並び立てられる。いやいやそんなのあるかよ、エビデンスを見せてみろよと思いながら聞いていると、話はさらに怪しい方向へと転がって行く。
そしてとうとう、さらなる定型句が飛び出してくる。「これは知り合いから買っているんだけど、すごくお勧めなんだ」だと。いやいや、本当にあるんだね、こういうのって。これ進研ゼミでやったことあるやつだ! という状況に近い。どんな誰でも最低限知ってそうなテンプレートに乗っているような誘い文句。しかもさらに聞くと、今度の金曜日に血管年齢を計るイベントがあるらしくて、そこには「すごい人」も来てくれるとか何とか。

役満、それもダブル役満である。このまま教科書に載せたいくらいの、素晴らしいくらいの怪しい勧誘である。
ここまで綺麗に話すのは初めて見たし、ついでに言えば勧誘された相手もかなり興味を持っていて正直引いた。テンプレ勧誘をする方もする方だし、引っかかる方も引っかかる方だ。
しかも「ネットでは検索しないで欲しい。ネットでは叩かれてるからね。でも、それは効果を信じてない人が買わずにアンチになって叩いてるだけだから。私はこれで実際痩せたしずっと体調もいいんだよ」とかなんとか怪しさ満点の言い訳を信じているしもうどうしたものかと思ってしまった。

これ、全く知らない人たちの話ならいいのだけれど、実は両方とも知り合いなので参ってしまう。仕事で関わりのある人たちなので、何なら私まで巻き込まれてしまいそうで最悪である。だから会話には混ざらずそっと距離を取って聞いていないふりをした。
100%の善意を持って勧めてきそうで本当に面倒くさい。

100歩譲って医薬品が出てくるのだとすればまだ良い。医薬品には一応効能効果が書いてあって、基準もあるものだから最低限の裏付けはある。あとは「効くか」「効かないか」の世界である。間違っても「信じるか」「信じないか」の世界ではない。プラセボという言葉があって、偽薬でも投与された人が薬と信じていれば良い効果が表れることもある訳だが、医薬品ならそのプラセボ込みの実験を経て効果を確認しているわけで、特に信じていなくとも効果は表れるものである。だからその時点で前提から大きく間違っている。

今時こんなこともあるのだなと思いつつ、今は火の粉がこちらにかからないようにするのみである。