言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

うなぎの魔力

暑いとうなぎが食べたくなる。もっとも、うなぎそのものの旬は晩秋から初冬にかけてらしいので、その時期にも食べたい。さらに言えば食べられるのであればもっと年中食べてもいい。それくらいにはうなぎが好きである。
もう少し詳しく絞るならば、鰻とご飯とあのタレの組み合わせが好き、という話にもなる。あの甘辛のたれを絡めて食べるうな重あるいはうな丼はこの上ない贅沢であるとさえ言える。

贅沢なのはもちろん値段のせいでもある。うなぎは高い。非常に高い。さあうなぎを食べに行こうなんて事になるのは、それこそ誰かのおごりか、あるいは給料日や臨時収入のあった時だろう。それくらい理由を付けないとなかなか踏ん切りがつかないのもうなぎである。

安く食べようと思えば、手段はもちろんある。うなぎ屋に行かなければいいのである。寿司屋で握ってもらったり、太巻きに少し入れてもらったり、さらにはうなまぶしなるほとんど身は乗っていなくてご飯とタレだけのような商品もある。また牛丼屋に行けばそこそこの価格でうな重さえも束られたりするらしいが、さすがにそこまでは試した事はない。手軽に少し味わうくらいであれば税悪感が薄くてついつい手が伸びてしまうのはままある話なので、何かの拍子に注文してしまう日もそう遠くはないだろう。

何年か前、孤独のグルメの原作でも紹介されていた、赤羽の某居酒屋へ行ったことがある。そこでは美味いうな丼が格安で食べられると言うのである(しかも朝から開いているし飲むこともできるとんでもない店だ)。掲載時の価格は750円。いくらどぶ漬けが600円、すっぽん鍋が850円とかであったから、なるほど安くていいものを出す店ん名だな、と思って実際に訪れてみたわけである。
ところがいざ注文してみると、1400円に値上げしていた。掲載されたのが1995年という事だから無理もない。ほとんど2倍の価格になってしまっていた。もちろんこれでも安いのには変わりないし、もちろん美味かった。けれどもうなぎの価格高騰は思いのほか深刻であることを認識せざるを得なかった。

絶滅が危惧されているからか非常に価格が高いため、そう滅多やたらに買う事ができない。うなぎの数というより稚魚が減っているため養殖の初期費用というか投資すぐ額が大きいのも価格がつり上がっている原因だ。だからうなぎ養殖はあまりに高すぎて売れ行きが芳しくなく、せっかく高価格で稚魚を仕入れて育てても逆に余らせてしまう事態さえ起きていると言う。なんとも皮肉な話だ。

であるからこそ、うなぎが低価格で食べることができると、非常にありがたみがあってよい。静岡は沼津の某店では、スタミナ定食と言って豚バラのにんにく醤油炒めと共にうなぎのかば焼きが一枚乗っている1000円の定食がある。こういうのが実にありがたい。ご飯にのせて簡易うな丼として一気に食べてしまうわけである。