言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

たいやき屋

それほど気にして選んだことはないけれど、意外と食べている。私にとってのたいやきとはそういうものである。たまたまだが、たいやきの店というものは、いつも身近なところにあった。横浜駅の西口とか、神楽坂の坂の下のあたりだとか、何かと縁がある。何ならたこやきよりもたいやきの方がお世話になっている気がする。そう言う存在だ。
好物かと言われるとそう言うわけではない。でも好きだ。前を通るとつい食べたくなってしまう。歩いていると漂ってくる甘い香りについ視線がたいやき屋の方を向いてしまい、そんな時に季節の新作メニューなんてのが目に入ったならばそれはもうすっかりたいやきが食べたくなっている。

季節の新作メニューというのは、買う側にとって冒険である事は言うまでもない。むろん売る側にとっても同じだとは思うが、未知の味との遭遇である。であるゆえに、想像もつかないような味だと身構えてしまう。例えば抹茶とか、栗だとかそういうのはなんとなく想像がつく。ところがそこにマンゴーとかそういう普段たいやきの中身としてお目にかかりそうにないような名前があった時、惹かれながらも戸惑ってしまうわけである。
でも買ってしまうのは好奇心と、それからいつもの味を知っているからこそだろうか。

好きなもの、気にいったものは、つい高頻度で食べてしまう癖がある。流石に栄養バランスの観点から同じものを3食食べるとかそういうことはしないが、隔日で食べるなんてことは平気でやる。マイブーム到来中はもう少しそれがひどくなったりする。同じ店に何度も行けば、これを食べれば間違いないというメニューを見つけるものだ(というかそういうものがあるから通うわけでもある)。だからたまに店の人に覚えられていて、顔パスで同じものが出てきてしまうこともあったりしてそれはそれで嬉しいのだが、たまに違うものに挑戦したくなったりもするわけである。季節のメニューなんてのはそういうちょっとした冒険をしたい時にうってつけなのだ。
季節のメニューとか期間限定メニューというのは、いつものメニューをいつも同じように食べている、そのためのスパイスともなりうるからこそたまの冒険が楽しいのだ、とも言えるかもしれない。

たいやきも同じである。期間限定の物に手を出して、店に初めて行くことになったとしても同じだ。順番が逆になるだけ。いつも食べられる、限定ではない味を食べて、気に入ればそれこそ毎日通う勢いで店を訪れることになる。限定商品が気にいれば季節が変わってメニューがなくなるまではそれを食べ続けるかもしれないけれど、それができるのは戻ってこられる味があるからだと勝手に思っている。

初めて行く店で限定メニューを頼んでみることだって普通にある。観光地に出かけた時なんかは、季節のメニューこそがご当地メニューであるということもあるからだ。
でもそれはそれ、これはこれ。
普段使いのなんとはなしの店だからこそ、いつものつぶあんのたいやきが恋しくなるものなのである。