言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

野良猫


数年くらい前までは「最近は全然野良猫って見なくなったな」と思っていた。家から駅までにある空き地のあたりと、それから反対側の公園のところにそれぞれ1匹ずついるところは見たことがあるがそれくらいだった。昔はもっと良く見た気がしていたのだけれど、今ではそうやって場所を特定できるくらいしかいないんだな、と思っていた。
ところが去年から引っ越してきた今の家の近くにはなんだか知らないが野良猫が結構いる。家から駅までのメインの通りではほぼ見かけないものの、路地を入ると結構いる。家の庭のところとか、集合住宅のベランダとか。最初飼い猫なのかと思ったけれど、普通に駐車場を歩いていたりするのを見てそれらがみんな野良猫であることを知った。
ただたまたまかもしれないが、どの猫も結構高齢なように見えた。あまり猫に詳しくないので何とも言えないところだけれど、全体的に若い猫ではないな、というのは動きや見た目からなんとなく思うのだ。ゆっくりしていて、人が近づいても物おじしなくて、かつ危ない場所はちゃんと避けている感じ。踏切の近くにいる猫もいたが、別に渡っていたわけではなく、踏切横の家の庭から出てきただけのようだった。よくわかっているのだろう。
他の地域の事情は分からないけれど、どうも今の家の周りは野良猫の多い地域、ということになりそうだ。わからないことだらけだけれど、見かけるとちょっと足を止めてじっくりと見てしまうので、私はそれなりに猫のことが好きなのかもしれない。

いろいろなところで見かける野良猫だが、毛色から判別して割と狭い範囲でそれぞれ微妙に分かれて点在していることからも、縄張り的なこともあるのだろうか。ベランダ、庭、駐車場。それから公園にも住み着いている猫がいる。ということはやっぱり、半分管理されているというか、住み着いている場所に対してお世話をしている人が存在する猫なのかもしれない。
「野良猫」という表現が正しいのかわからないところではあるが、地域の猫……みたいな、そういうことだろうか。近所に動物病院もあるし、普通に面倒を見られている可能性はある。
まあでもなんだろう、放し飼いというわけではないけれど家から自由に出入りできる形で猫を飼っている人もいるというし、そんなもんなのかもしれない。地方に行くと駅とかに住み着いた猫が「駅長」とか「所長」とか呼ばれてマスコット化している場合もあるし、小さい島などに行けば普通に島の範囲内を歩き回る猫の姿を見られたりする。
地域で面倒を見ている人の居る猫というのは思ったよりも結構存在するのだろう。


私は家で動物を飼ったことがない。理由は簡単で、飼っても良い家に住んだことがないからだ。ペット禁止の家で飼えるのはせいぜい熱帯魚である。金魚とかも飼っていたことはあった。
そういうわけで猫や犬と言った室内で飼えるペットの類に関しては基本的に扱いが不慣れなのだけれど、見ている分には結構好きではある。昔は犬あたりはかなり苦手というか怖かったのだけれど、最近はそんなことはなくなった。まあ不慣れなのは変わっていないので、おっかなびっくり触るなんてことは良くある話だけれど、それでもやっぱり道で見かけたりすると目がそちらに行くものである。
そういう意味で、その辺を闊歩している猫などは目が行くどころか足を止めてまじまじと見てしまう。近づいて逃げないタイプなら、とりあえず写真を取ってみたりする。触るかどうかは……様子次第だけれど、あんまりそこまでは至らない。純粋にどう触ったらいいのかわからないというのもあるけれど、やっぱりなんというか猫側の気に障ったら嫌だなという意識(怖さ?)があって、写真を撮るにとどまるものである。

こういうのはきっと慣れなんだろうな、とは思う。家にいれば自然と慣れていくのだろうか。これまでは全く縁がなかったけれど、この先の人生で家に猫か犬を迎える日が来る……かもしれないけれど、まあどうなることやら。全く想像がつかない。漠然と、犬や猫の居る家に遊びに行って「いいな」的なことを思うことはあるけれども、やっぱり飼うとなったらいろいろ大変そうだとも思う。猫を飼うエッセイや漫画をチラ見した程度でもそれなりにいろいろありそうだなということがうかがい知れるので、覚悟みたいなものは必要なんだろうな。