言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

高い鰻とそうではない鰻を比べた話

世の中には高い鰻と安い鰻があるけれど、安い鰻に関してはこれまで「うな重」や「うな丼」の形では食べてこなかった。安い系のウナギはたいてい100円の回転ずしとかそういうところで食べているのだけれど、この間「100円寿司の鰻が美味いならうな重やうな丼でも美味いんじゃないの?」とふとした拍子にそんなことを思った。なんとなく避けてきたというか、手を出してこなかった存在なのだけれど、もしや別に使っている鰻は寿司でも丼でも同じようなものだろうし、普通に美味しく食べられるんじゃなかろうかと。
んでまあ、見るんだよね、牛丼屋とかで。毎年これくらいの時期になると松屋とかのメニューに乗っかって来るんだよね。
それを毎年何となく眺めて、でもまあ頼みはせず、食べている人も特に見ず、なんとなくそういうのもあるよねくらいなままに流れていった存在だった。私の中では。
興味はあるけれど機会がない、そういう存在はまあ本当によくあるのだけれど、そういうのは勢いでこなすべきだよね。思い立ったら食べてみる。それしかない。

ただ、私の場合思い立ったタイミングがちょっと悪くて、もう5月になっていたもんだから松屋のうな丼が残っているかどうか若干怪しかった。去年は4月のうちに在庫が大方はけてしまったというし、もう店頭のメニューにも書いていないから半ば諦めてもいた。

なので、先に「高い鰻」の方を食べてしまった。
いやまあわかってはいるんだよ、こういうのは基本的に安くてお手軽な方を先に食べてから、そのあとで本物というか高い方を食べて「いやーどっちもうまいけど高いのには理由があるんだね」的な結論になったり「高い方がやっぱうまいっすわ」とか「高い理由がわからんね」みたいなことになるのが定石だってのは。仕方ないよ、意図していたわけじゃないので。

というわけで高い方はこれ。

f:id:fwbc0416:20210511203723j:image

うな重ではなく、ひつまぶしである。お値段4000円くらい。高いけれど、まあなんかせっかくだし、ということで頼んでしまった。どうしても鰻が食べたかったのだ。
そしてもう何だろう、「そうですよね……」という感じでめちゃくちゃ美味かった。
あと思ったよりみっちり入っていて、ボリュームがあった。タレのしみ込んだご飯が好きなのでめちゃくちゃ嬉しかった。
んでまあこれはひつまぶし特有のものだけれど、薬味がいい仕事するのよね。鰻には大抵山椒をかけるわけだけれど、この場合はわさびが一番好きだ。わさびと鰻の蒲焼は相性が良い。ひつまぶしじゃなくてもちょっと試してみたいかも。
まあ白焼きとかだと添えられてるらしいし、丼やお重の時にないだけかもしれないね。

美味すぎて調子に乗って肝焼きも食べた。

f:id:fwbc0416:20210511203742j:image

肝焼きって結構苦い印象あったけれど全然そんなことなかった。程よい感じ。

それが月初の話。1週間後の夜、つまり昨日松屋に入ったら、まだうな丼が裏ているのを見つけてしまったのだ。もう店頭のメニューに乗っていなかったけれど、食券機にはちゃんと残っていたのだ。これは思いがけないサプライズだった。
キムカル丼かネギ卵牛めしのどっちにしよう……とか考えていたのに「鰻あるじゃん!」となってしまったのだ。
そんなわけでテイクアウトをして家で食べてみた(昨今のご時世による対応でもう店内で食べられる時間じゃなかった)。

f:id:fwbc0416:20210511203820j:plain

松屋の850円のうな丼



タレ(と山椒)が別添えでついてきたのでかけて食べようと思ったのだけれど、よく見るともう既にご飯に色がついている。おや、と思って食べてみたら普通にもう味が付いてた。
普通に美味しい。というか想像していたよりずっと美味しかった。回転寿司とかで流れてくる100円の鰻とかと比べてももっと美味しいかもしれない。産地がどうとかそういうことを気にしなければ全然これは普通に美味しく食べられるやつだ。牛丼屋で850円というのはなかなか高い価格帯だとは思うけれど、鰻にしてはだいぶ安いし、なんとなく鰻が食べたいな……くらいの気持ちの時に買うのでも全然問題なく満たされると思う。
テイクアウトだからなのかタレが別添えされているところを見ると、これは家でもう一工夫して食べてもいいということかもしれない。というのも、結構鰻自体は美味しいのだけれど脂っぽい感じもあって、若干気になるところではあったのだ。一度鰻に熱湯をかけて少し置いておくことによって脂を落とすという技法があるらしいので、そういう時に再度タレをかけられるようになっているのかもしれない。
まあ私は普通にそのまま何もせず食べたのでタレは余った。
翌日タレだけをご飯にかけてみて食べたけれど、さすがに雰囲気はあるものの別物だった。

f:id:fwbc0416:20210511203917j:image

何より気持ちとしてはかなり寂しい感じになるので、これはやっぱり鰻か何かに使うのが良さそうだな。美味しくないわけではないので、なんというかこう、気持ちの問題かもしれない。まああとタレに鰻の成分とかが入っていないからだとは思うけれど。

それにしても、月に2回も鰻を食べてしまうなんてとんでもない贅沢をしたような気分だ。4000円出した方はまあ本当に贅沢なんだけれど、松屋の850円はそれなりにお得だったかもしれないな。
とはいえこれは先に4000の方を食べたうえでハードルを下げまくった結果かもしれないので、まあまた理由を付けて食べてみようかな。なんて。

 まあでもほんと、鰻って美味いね。こんなの書いてたらまた食べたくなっちゃうよ。