言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

干し柿

干し柿が好きだ。普通に買うとちょっと高いけれど、例えば道の駅とかで地元の農家の人とかが作っているものを買うとかなり安価で購入できたりする。色が黒かったり、粉を吹いていなかったり、ちょっと硬かったりするけれど、結構美味しくて気軽にたくさん食べられるので好きだ。

もちろん、生で食べる柿というのも好きだ。生の甘柿と干し柿とは甘さの種類というか、風味や触感がだいぶ違うので比較できないけれども、どちらも甘くておいしい。生には生の良さがあり、干したものには干したものの良さがある。

ただ一つ言えるのは、生の柿つまり甘柿は季節でないとなかなか食べられないけれど、干し柿は保存が効く(そのために干しているのだけれど)ので、食べようと思えば結構どの季節でも取り扱いがあって良い。
干し柿にも色々あって、半生の柔らかなタイプに、水分の少ないタイプの干し柿、さらにはもうドライフルーツのように固くしてある干し柿なんかもあったりする。一般的に流通しているあのオレンジ色の果実に白い粉が吹いているようなものは半生のものが多いだろうか。結構手がかかっているからあれだけ綺麗に出来るようで、だからこそ結構良いお値段するわけだ。ドライフルーツのように固くしてあるものもまた結構希少なものらしく、徳島の山奥で作られているものくらいしかお目にかかったことはない。どうもとても渋い柿らしく、そうでもしないと渋みが抜けないんだそうだ。

渋柿はだめだ。渋柿を好きだという人はまずいないだろう。渋柿にはタンニンがたくさん含まれていて、うっかり口にするとタンニンの「収斂性」というものがいかなるものであるかというのを体感させられるはめになるだろう。以前人の家の庭に20年ぶりに実ったという柿を食べさせてもらった事があるが、普通に渋柿だったので口の中がゴワゴワっとしたなんともいえないあの水分を持っていかれるような感覚に襲われることになり、非常に嫌な思いをした。

あれを美味いと感じるのは無理がある。干して甘い星が気にしてくれと心から思ったものだ。
しかしまあ渋柿を干して渋抜きしてあげると甘い干し柿になるのだから面白いものである。

生で食べることのできる甘柿よりもずっと渋柿のほうが持っている糖度自体は高い。それを上回る渋みを感じさせてしまうから渋柿なのだ。糖度自体はメロンやぶどうよりも高いという。そりゃあもうどうにかして渋さを感じないようにしてその甘さを感じたいと思うわけだ。干すことで渋みを感じさせなくすることを発見した人に感謝である。いちおう生の状態で食べても甘みを感じないこともないが、圧倒的に渋いので到底食べられる代物ではないのが渋柿というものである。

渋みの成分であるタンニンが干してあげることによって「なくなる」のではなく唾液などに「溶け出さなくなる」ために渋みを感じなくなるというメカニズム、面白いものだ。発想の勝利である。


ただ、おいしいからと言って調子に乗って食べ過ぎると思わぬ落とし穴があるのが干し柿である。干すことによって栄養価がギュッと詰まっているので健康食であるのは間違いないのだけれど、同時にカロリーも結構高いのである。干し柿1個には当たり前のように柿1個分のカロリーがあるわけで、サイズは水分が抜けている分1/4とかになっているのに、干し柿1個なんてあっという間に食べられてしまう。調子に乗ってパクパク食べていると痛い目にあってしまうのだ。おお怖い。