言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

美味しいけれども、尻込みする時

美味い! 食べたい! でも、面倒くさい……。そう思う食べ物はこの世に山ほど存在するだろう。メジャーなところで思いつくのは「蟹」だろうか。値段も高いし、おいしいのだけれど、いかんせん向くのが面倒だ。特に甲羅の所にへばりついている身は取りにくくて仕方がないのだが、「これも含めての値段だよな、無駄にはできないな」などと持ち前の貧乏性を発症した挙句ムキになって身を引きはがそうと頑張る。そして労力の割には大して取れない。細い手足についても、するっと抜けるように取れる場合は良いのだが、運悪く取れなかった時が悔しい思いをすることになる。この野郎、などと時には心ない罵声を蟹に向かって履き捨てることもあるだろう。高い打の美味いだのありがたがっているはずなのに、それはそれで滑稽な光景とも言えよう。
そんな蟹には身を剥く専門の職人までいるのだから、いかに苦しんでいる人の多いことか、伺い知れるわけである。

マイナーそうな食べ物で言えば「衣かつぎ」をあげてみたい所だ。衣かつぎとは言ってしまえば皮ごと蒸した里芋のことで、どこの名物かは知らないが時折酒の肴としてメニューに上がっている事がある。皮ごと蒸したり茹でたりした里芋を剥いて、塩や味噌などを付けて食べるシンプルな料理であるが、素朴でかつおいしくいただけるので、私としてはかなり好きな調理法の一つであることは間違いない。問題は皮ごと出された場合で、里芋に粘り気があるため、剥いている途中で手にその粘り気が付着してしまうのが難点だ。だいたい複数個食べることになるので、積み重なるといちいち手を拭くハメになる。包丁で切れ込みを入れてから中身を押し出して食べる方法もあるらしいが、中身がつぶれて皮の内側に残ってしまうのがなんとも言えない(ブドウの食べ方を思い出していただけると、これも想像しやすいかもしれない)。

綺麗に食べれるに越したことはないが、わりと良い確率で失敗するので、これもまた職人となるべく勉強する他ないのだろうか。

他にもいろいろと思いつきそうなものだが、キリがない上に結論が同じになりそうでこれまでとするが、どうしても一つだけ、紹介したいものがある。

それは、立ち食いそば屋で注文したがカウンターに空きがなく、どんぶりを手持ちで食べなければいけない場合の事だ。我孫子駅弥生軒などで頻繁に起こる事象だが、普通のそばならいざ知らず、からあげのような巨大な具をのせている時はなかなかに食べ進めて行くのが困難である事だけをお伝えしたい。

分かっていながら注文しているのだから、仕方がないのである。