言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

頑張らない旅行

 

頑張らない旅行がしたい。

そもそも旅行になるとつい頑張っていろいろと回ったり、いろいろ名物を食べようとしたり、頑張ってしまうものだ。それはそれで楽しい旅行ができるのだけれど、頑張らないでだらだら過ごす旅行というのもまたいいものである。

温泉旅行などはその最たるものだと思う。明るいうちに宿について、最初に温泉につかってそのあと食事。そして寝る前にもう一回汗を流しに行ったりなんかして、気分が良ければ朝にも入ったりする。観光はそこまで頑張ってしない。行きがけとか帰りがけに何かあれば顔を出していくような、それくらいである。無理して回らない。ついでに行くのだ。

贅沢な時間だと思う。

小さな温泉街なら食後に少し散歩をしたりするのも楽しいだろう。温泉街の多くは提灯や雪洞(ぼんぼり)のあの橙色の柔らかい明りで控えめに照らされていることが多い気がする。間接照明みたいなもんだろうか。風情があってとてもいい。
漁港近くなら夜だけではなくて朝もいいだろう。静かで人の気配がほとんどない夜の堤防でぼんやり過ごしてもいいし、朝、漁から帰ってきた船をぼんやり眺めているのもいい。

格式の高い旅館だとそれなりに費用が掛かるけれど、それならば民宿はどうだろう。温泉がついていて、地元の名物が食べられるような民宿。たいていアクセスが悪い場所にあったり、設備が古かったり、女将さんがおせっかいで口うるさいタイプだったりするけれど、そんなもんだと思えばそんなもんだ。
何もしないでぼんやり過ごして、食べて寝て温泉に入って、散歩して。忙しい日が続いたときにはそんな旅行もいいと思う。1泊とかで気軽に行けるようなところで、また今度行きたい。


旅行において「もう二度と来れないだろうから全部見ておこう」という気持ちでずっといるのはしんどいものである。場所によっては、こんなところめったに来れないな、とか、もうなくなってしまうからこれきりだな、と思うこともあるけれど、ずっと1日中「これきりになりそうだから全部回りきるぞ」となっていては疲れてしまう。
言い方は悪いけれど、ある程度の妥協とあきらめは常に必要だと思っている。要はバランスである。ここはどうしても行きたい、というところと、時間があれば行きたい、くらいの場所。時間や季節の縛りのあるものを優先して、あとはぼちぼち適当に見て回るくらいにはじめから思っておければ、むしろいけてラッキーだな、くらいに思えるから。
それでもたまに頑張っていろいろ回ってしまう時もある。それはそれ。

頑張る時は頑張るし、頑張らないときは頑張らない。それでいいや。