言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

パイナップルとの闘い

パイナップルアレルギーになった時の話は、以前にもした。これがその時の話だ。

 

fwbc0416.hatenablog.com

アレルギーによって引き起こされる症状にもいろいろあって、かなり多いのは湿疹が出てしまったり、呼吸困難になってしまったりするような場合だろう。私の場合はまだそのあたりの症状は出ていない。出ていないというか、そういうタイプではないのかもしれない。パイナップルを摂取してしまうとそこから数時間激しい腹痛と、あとは吐き気に苛まれるような、そんなタイプの症状である。要するに体がパイナップルを受け付けない、排除したい、そんな状態なんだろう、ということがよくわかる。しかも症状が出るたびに重くなってきている(=食べるたびに辛くなる)ので、いよいようっかりにでも口にするのが恐怖になってきたわけである。

中華料理店に出かけて「酢豚にパイナップルは入っていますか?」なんて聞く人なんてなかなか今時使い古されたネタのようなものじゃないかと思っていたけれど、まさか自分がそれを聞かなくてはならない立場になるとはわからないものである。しかもネタではないのだ。好き嫌いではないのだ。だってパイナップル自体別に嫌いだと思ったことがないからだ。それが例え酢豚の中であったとしても、たまにあるらしいカレーの中であったとしても、うっかり食べたらそこそこ危ないので、警戒のためにも「パイナップルは入っていますか?」と聞かなくてはならないのだ。

酢豚ならばあまりに有名だから気にしやすいが、カレーなんてのはまあ難しい。隠し味だったら尚のことわからない(わからず食べて軽い腹痛になっていた可能性は普通にある)のだ。ハウス食品の公式ホームページに書かれたレシピのように、固形で入っていてくれたらわかりやすくもあるが、擦り下ろされていたらもうお手上げだ。見つけるか、教えてもらうか、あとはもはや人体実験である。パイナップルはアレルギーの主要品目に入っていないから、聞かないとわからない場合が多いのである。

 


さてアレルギー発覚から半年くらいが経過して、いつの間にか夏になっていた。

パイナップルは夏の果物であるので、自然と世の中のパイナップル製品が多くなってくる時期だ。

職場にはよく飴が置かれているのだが、最近その大多数がパインアメになった。飴とはいえ油断は禁物である。果汁が含まれているからだ。

 

私はそのパインアメの山をかき分けて、丸いドロップを手に取った。淡い黄色の飴である。一応裏返して中身を確認してみたが、果汁とだけ書いてあって、そこにはパイナップルの文字はなかったので、「まあ大丈夫だろう」と口の中に放り込んだ。淡い黄色の飴といえば、大抵レモンの飴だからである。

 

ところがまあもうわかるだろうけれども、そいつはパイナップル味の飴だったのだ。

久しぶりにあのパイナップルの味を感じて、数秒。慌ててティッシュの中に飴を吐き出した。ついでにうがいもしに行く。

危ないところだった。というか多分、少し舐めてしまった分もあったとは思うが、幸い症状はほとんど出なかったので助かったのだった。

 

やっぱり夏はパイナップル味だよなあ、と思いつつも、あの味が少し恐怖の対象になっているどころか、トラウマそのものになりつつある。人間、怖い思いや痛い思いをすると、ちゃんと考えるより先に身体が学ぶんだな。

経験が恐怖を形作る、そんな実感体験。