言葉のリハビリ場

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銭湯のシャワー

銭湯のシャワーは何故固定式のものなのだろう。
あれが全国の銭湯で共通なのかどうかはわからないが、家の近くだけではなく、旅先で行った銭湯もそんな感じだったことからだいたい固定式のシャワーが使われているようだという事はわかる。そしてそれはほとんど銭湯でしか見たことがない。一部あるとしたら、合宿所とか古い旅館だとか、そういう場所だろうか。
「昭和レトロ」なんていったら怒られるかもしれないが、私にとってはそういう単語を想起させる代物である。

この間、旅行中に銭湯に行ってきた。特に深い理由はなく、ホテルの風呂でもいいけれど銭湯が近くにあるし行った方が楽な気がする、という理由でいそいそと出かけて行った。
こじんまりとした、地元の人が使っているんだろうな、という感じの銭湯。入ってみると、定番の富士山のタイル壁画と洗い場である。私は入らないけれどサウナもあった。

さてまあその時にふと気が付いたのだけれど、銭湯の洗い場についているシャワーが固定式なのである。私の住んでいる家の近くの銭湯も良く考えてみればそうだし、北海道でたまたま行く事になった銭湯も似たような感じだった。
この固定式のシャワーって、そういや銭湯特有だな、とか思ってしまったのである。


固定式のシャワーとはどういうことか。「銭湯 シャワー」で検索してもいまいちこれ、というような画像が出てこないので想像がしにくいかもしれないが、シャワーヘッドだけ壁にくっついている物、という説明でなんとなくわかって欲しい。シャワーヘッドだけなのである。コックやハンドルが付いていて、それを開け閉めすることでお湯が出る。調整できるのはお湯の強さだけである。稀に温度調節の出来るもの(お湯と水を選べるようなもの)もあるが、だいたいは開閉くらいしか操作できない。完全に固定式のものだと、左右にも動かせない。だから身体を洗おうと思ったら、お湯を黄色い「ケロリン」の洗面器にためて流したり、あるいは髪を洗う時なんかはもう身体をシャワーの方に近付けて洗うのだ。

まあ不便と言えばかなり不便である。シャワーと言えば手で持って使える取り回しの良さが一つの魅力であるのに、その良さが完全に失われているのだ。

ところが固定することで良いこともある。通常のシャワーは取り回しの良さからあらゆる角度で使われうるわけで、それは自宅であれば困る人もいないので良いのだが、銭湯のような公共の場であると「水が人にかかる」という事象が発生するのだ。身体を流す時、特に肩あたりにシャワーヘッドを向けるとき、水が身体よりも後ろに飛んでいく事はかなりの場合で起きる。

これは結構トラブルの種になるらしく、実際知り合いが後ろに座っている人に水を掛けてしまって怒られている姿を見たことがある。後ろ側に人がいる場合には使う人が考えなければならないのだ。

固定式のシャワーのいいところは、シャワーが他の人のところまで飛んでいく事がないということだ。もちろんお湯を洗面器にためて掛ける場合はその限りではないが、シャワーそのものよりも気を付けやすいような気はする。
銭湯はそう広い洗い場もなかったりするので、自由にシャワーを使えるようにするよりも、多少不便でも不快感やトラブルのもとにならないように工夫した末のあの構造なのかもしれない。


ちなみに同じように銭湯と名乗っていても、スーパー銭湯なんかは全然違う。固定式のシャワーはほとんど見たことがない。銭湯と名前が付いているけれど値段はスーパー銭湯の方がほとんどの場合高いし、温泉だとか岩風呂だとかそういうものが一緒に付帯しているから別物だ。
だからか知らないが固定式のシャワーではないし、一般的なシャワーが付いていることが多い。
銭湯の固定式のシャワーも良いけれど、やっぱり私個人的には普通のシャワーが使いたいな。なんか洗えてないところがありそうで怖いしね。