言葉のリハビリ場

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家系ラーメンの誘惑

家系ラーメンは、1口目こそが至福の時である。最後まで食べきる頃には飽きる……という事はないものの、美味しさのピークは1口目である。あの1口目を味わいたくて何度も家系ラーメンの店に足を運ぶと言っても過言ではない。

横浜を中心に、最近ではかなり広範囲にわたって展開されている家系ラーメンであるが、基本的にとんこつ醤油味ということで、かなり高カロリーで重たいものであることは分かってもらえるだろう。カロリー的にはあまり変わらないだろうけれど、家系ラーメン特有の「鶏油(チーユ)」もまた脂っぽさを増しているものだ。オーダー時に麺の固さ、味の濃さ、油の量を聞かれるくらいだから、本当はここを調整したら良いのである。脂っぽいと感じる店ならば、少なめに、と告げればそれでいいのだ。
ラーメンにも例えばラーメン二郎およびそのインスパイア系や、新潟あたりで多くみられる背脂チャッチャ系なんかに比べたら、家系ラーメンは重すぎはしない。だがあくまでそれは重量級メンバーと比べた場合である。家系ラーメンが非常にハイカロリー食であるのは間違いない。濃厚なとんこつ、中太麺。博多の長浜ラーメンとか、そう言った類のものとは一線を画す(あちらは大盛りではなく替え玉が主流であり、それはそれで危ない)。家系ラーメン意外にもっとやばい奴もあるから……なんて考え出したら最後だ。ついついご飯を付けてしまうし、この「つい」手を出してしまう感覚もまた危ない。体重が右肩上がりである。

食べ終わる頃には満腹で、下手をするとその後の夕飯に支障をきたすくらいにもたれたりもするわけだが、どういうわけだか定期的に食べたくなる。絶対後からもたれるのがわかっていても、注文する時には「今日は大盛りでもいいかな」とか「ご飯も食べ放題だしつけるか」とか考えてしまうわけである。学習していないわけではなくて、何でかいつもそうなってしまうのだ。だいたい夕飯に多少支障をきたそうがそこまで困ってもいないし。とまあ開き直ってしまうわけである。

最近はほとんど食べなくなったが、家系ラーメンはご飯との相性がとても良い。親和性が高すぎる。家系ラーメンを食べる時は後半になるとほぼ必ず豆板醤を投入する私だが、ピリ辛なスープになると余計ご飯と合うのである。だから食べ過ぎてしまうんだろうなあ。白米を自分で盛り付けるタイプの店が多いので、本当に加減して持って来ないと大変なことになってしまうわけである。あったらあっただけその場では食べられてしまうから。あの濃い味はご飯と合う。味が変われば麺が進むようにご飯も進む。海苔で巻いたりして食べているうちに気がつけばご飯の方が先になくなる始末だ。

食べ終わる頃には大抵後悔している。なんでこんなにお腹いっぱいになるまで食べてしまったんだろう、と。せめて油少な目でオーダーしておいたら良かったかな、と。でももう後の祭りだ。
それでも次に来る時には至高の1口目のために、いつもと変わらずにオーダーをしてしまうのだ。
あのとんこつ醤油の味を、麺をすする瞬間を、また再演するために。