言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

アニメのサントラという存在


サウンドトラックというものが販売されているという事は、CDショップに足を運ぶようになってから知った。もちろん「劇中のBGMを収録したもの」である事はわかっていたが、各作品ほぼ必ず販売されているのはびっくりすると同時に、特に手に取る機会もなくしばらくそれがどんなものなのかを知らずにいた。というか、アニメのサントラなるもの、誰が買うというんだろう? くらいの認識だった。例えばテレビドラマなら分からなくもないとは思っていた。「踊る大捜査線」の有名なあのテーマとか、そういうのは聞きたい人いるだろうなぁ、とか。さらには歌の入ってない曲を集めたってそれクラシック音楽のCDとどう違うんだよ、とすら思っていた(無論クラシック音楽も大して聞いたことのない人間の感想である)。とにかく聞きたい音楽はすなわち歌の入った曲で、その先にはとにかく歌えるようになりたい・歌いたいという気持ちがあったからこその「サントラ蔑視」となっていたのであろう。またの名を食わず嫌い。
アニメによってはOPやEDのTVサイズ版を収録しているだけでなく、挿入歌の一部はシングルで発売せずサントラに一緒に入っているという使用のものもあった。私はこれが憎かった。サントラに高い金払って1曲だけ欲しい曲を手に入れるのか、と。

ところが、その考えはとあるアニメに出会ってあっさりと覆され、食わず嫌いをあっという間に解消することになる。
そのアニメのタイトルが「ef-a tale of memories.」というもの。このアニメはシャフトという会社が作っているので絵もとても綺麗で良いのですが特筆すべきは音楽の素晴らしさ。原作の音楽制作スタッフがそのままアニメ版の音楽を作っているという事もあって音がとてもいいのと、さらにはかなり無茶な要求(シーンと音を完全に合わせる)があったらしく、音楽を聴くだけでシーンの情景がよみがえってくるほどのもの。これに出会った時に思ったのです。こう言う時のためにサウンドトラックというものがあるのか! と。そりゃ絵に合わせて音を作る(もしくはその逆)なんてのは例えば映画やドラマなんかでもよくあると思うので当たり前と言えば当たり前なのだが、それをはっきりと思い知らされたのがこの作品だった。完全に余談ではあるがこの作品1期制作時にはなんと原作が最後まで完成しておらず、そっちのBGM制作もほぼ同じ時期にやっていたらしい。だからか知らないがアニメ2期制作時になると1人作曲者が増えていて、主にピアノとバイオリンがメインの曲調だったものがエレキギターが入ってくるようになったりしていてそれはそれで面白い。

それからというものの、これ音がいいなあ、BGMがいいなぁ、なんて思うとすぐサントラを買うようになってしまった。サントラは結構曲数も多いし価格もそれなりにかかるためなかなか負担ではあるものの、むしろ積極的に発売を待つようにさえなってしまったのである。
サントラを聞くと、そのシーンを思い出す。特にサントラの作りにもよるが、順に聞いて行くとほとんど劇中で使われていたのと同じ順になる場合は、鑑賞の後「ひたる」時に最適だ。またなんというか、こうしてものをかいたりしている時にサントラはとてもいい。歌があると、歌詞に思考が引っ張られてしまう事がある。曲だけなら引っ張られないし、それどころか感情をそちらに寄せることができる。悲しいトーンの曲を聴くと、なんとなく悲しくなってくる。気持ちを作るのにちょうどいい。
サウンドノベルなんかが一番そうだが、音楽と文章はとっても相性がいい。うまく組み合わされば気持ちを何倍も大きく動かしてくれる。このシーンがどんなシーンなのか。悲しいシーンなのか、楽しいシーンなのか、それとも楽しいふりをしているだけで本当は悲しいシーンだったりするのか。寂しいのに強がっているのか。楽しいのに我慢しているのか。
こうして何度も同じフレーズを聞いているうちに、だんだん頭の中だけでも音が流れ始めたりして、現実が劇中のようになったり……。

まあ、そこまではないんだけどさ。