言葉のリハビリ場

特にテーマはなく、ざっくばらんに書いています

すごろくの話

その昔、すごろくは自分で作って遊ぶものだった。
模造紙の半分くらいのサイズの紙に、マジックペンで線と円を書いていく。たまに大きく円を描いて「2進む」とか「3戻る」とか書き足していくわけだ。作業自体はひどく単純だが、やりようによっては簡単に理不尽なゲームを作り上げることも出来てしまうのが面白さの秘訣だった。
マスに止まったら1回休みになるのは定番で、「スタートに戻る」もゴール前の定番だった。酷いものだと、スタート方面へ向かう一本道(それもマスが多い)に向かわされて、延々とスタートまで戻る間でさえも時間をかけさせるという理不尽ゲーである。あと中盤に必ずわかれ道を用意して、出た目に沿って進む道が変わるものがあったりもした。これもまた理不尽にスタート方面へ戻らされるものを作ったりして、運だめしの要素を苛烈にしていた。
そんな感じで自作のすごろくをつくって遊ぶ、そしてまた新しいものを作っては遊ぶ、その繰り返しだった。たぶん捨てていなければ3枚くらいは残っている気がする。こうして思い出してみて、また引っ張り出して遊んでみてもおもしろいかもしれない。思いで補正かもしれないけれど、あれは結構面白い遊びだった。

とはいえ、そうではないすごろく形式のゲームも結構やっていた。一番やっていたのは「日本特急旅行ゲーム」というやつだ。これは形式としてはボードゲームであり、基本的にサイコロでないもののルーレットを回して出た目の数だけマスを進めるという形式は同じである。舞台は日本全国であり、各々テーマに沿った用紙を一枚引いて、そこに書かれた場所を目指して電車に乗って行くというような物で、例えば「味の旅」であれば各地方1つずつピックアップされた郷土料理に従って8つの地点が指定されており、全部めぐって最終的にスタート地点である東京に帰ってくるのを目的としている。全員行き先の違う桃鉄みたいなもので、最初のこのカードの引きによって行程づくりを左右するから面白い。また日本「特急」旅行ゲームと言うだけあって、新幹線含めて様々な特急を利用して速いスピードで移動することも可能だ。ただし、各特急にあわせて特急券が1枚ずつしかなく、臨時特急券というどの特急にも乗れる券4枚と合わせて、何処でこの特急を利用するかがとても悩ましい。また「時間」の概念が導入されているのも特徴的だ。ルーレットの1/3は汽車のマークの書かれた数字のない目が付いており、これを引くと1時間時間が進む。特急列車は運行している時間が決められているので、いくら対応している路線に居ようとも、現在時刻を参照して走っていない路線であれば利用することができないという、これまた独特のルールである。さらに違う地方に入るとハプニングカードというカードを引くことができ、「今すぐ東京へ行く」「だるま祭りを見に前橋へ行く」というものから「誰か一人を任意の場所に飛ばせる」「旅は道ずれ全員集合!全員を任意の場所に移動させる」というような派手なものもありゲームにスパイスを加えてくれるわけである。まあこれもまた理不尽ゲーなのは否定しない。

これだけの要素があるこのゲーム、とにかく飽きが来ないのでもう何10回とプレイしたものだった。自作すごろくとはまた別の楽しみのあるゲームである。特に販売されたのが古い(1979年)という事で、往年の特急列車たくさん走っているのもなかなか見どころである。

大人数で遊ぶのにはあまり適さないが、例えば4人くらいが集まった時に、ド定番の人生ゲームなどに飽きてしまった時に結構お勧めなのでぜひ試してもらいたい。