言葉のリハビリ場

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我孫子駅のおおきな唐揚げそば

我孫子駅のホームに、弥生軒という立ち食いそばの店がある。今年2018年の4月で90周年を迎えた老舗であり、あの画家・山下清も住み込み働いていたことがあるというなかなか面白い歴史のある店だ(半年くらい働いては放浪し、いつの間にか帰ってくるという繰り返しであったらしい)。
この店、個人的にも好きな店で、我孫子駅へ行く度に名物の唐揚げそばを食べる。いやむしろ、食べるために行っている、それくらいの店である。

まず乗っている唐揚げだがとんでもなくでかい。2つまで乗せられるのだが、2つでもう丼を覆い尽くしてしまい、下になっている蕎麦が見えないくらいのサイズである。とにかくでかい。一応3つ以上も注文は出来るが乗せても食べにくいので、麺なしの丼に出汁と共に入れることのできるサービスがあるので、そっちを試した方がよさそうだ。蕎麦なしの唐揚げ単品で頼む人もいるくらい、人気の一品である。

またこの巨大な唐揚げ、衣も何か特別なものを使っているらしく、居酒屋やコンビニなどの唐揚げの片栗粉っぽさは薄い。どちらかと言うともったりとした厚みのある、赤茶色の衣をまとっている。ここにしっかりとした味が付いており、また出汁に浸して食べても邪魔をしないのでいい塩梅になってくれるのだ。

最近は、混雑時でも店内で食べるように張り紙がされているが、少し前までは列車到着直後などピーク時はホームにまで食べる人が溢れ出していた。無論カウンターなど外にはないので左手でどんを持ちながら食べるわけである。唐揚げがでかいのでなかなか食べるのに骨が折れるので机のある店内で置いて食べたいのだが、空くのを待ち切れず注文してしまう……。そんな繰り返しであった。流石に駅側から注意があったのか、店内で食べるようにとのお達しの張り紙が出来ていたので今はあまり外に出る人は見られなくなった。手で持って食べなくていいのは楽なので、こう言った外的要因で出来なくなるのはむしろ歓迎である(そうすれば我慢もできると言うものだ)。


横浜市内の自宅から我孫子までは、遠い上に電車賃もかなり掛るため、私は主にJRの首都圏近郊区間で使える「大周り乗車」の特例を利用することにしている。これは、首都圏近郊区間では運賃が常に最短距離にて計算される事を利用した公式に認められている裏技である。例えば東京駅から隣駅の神田駅に向かうとき、素直に山手線内回りで1駅乗るのと、外回りで1時間くらいかけて向かうのとでは同じ運賃である、というようなものである。要するに同じ区間を二度通らないようにさえ気をつければ、初乗り料金でこの区間内は基本どんな駅にも向かう事が出来るわけだ。
最大の欠点としては、改札の外には出られないことだろう。故に改札内で行きたい場所でもない限りはあまりこの特例を使う意味が薄い。それこそ期間限定ではあるが「休日お出かけパス」「青春18きっぷ」などを使えば改札の外へ出られるので、こちらの方が便利さは上である。

それ故に、私は大周り乗車を我孫子駅のホーム上にある弥生軒を訪れる時に使うのである。遠いけれども、安く行きたい。実際唐揚げそばの値段(540円)と合わせても700円程度ですべて賄えてしまうので、非常に経済的である。

我孫子駅に食べに行く際にお勧めなのは、常磐線ではなく成田線経由で向かう事だ。理由は2つあり、1つは成田線からであれば乗客が少ないので店の混まないうちに入れるためだ。もう1つは大周り乗車の特性上、帰る際に本数の少ない成田線を使うのは帰宅時間が遅くなって疲れてしまうからだ。だから先に乗っておく。成田線で来れば常磐線で帰れる。水戸線経由は辛い。