言葉のリハビリ場

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やきとり弁当

 函館には「やきとり弁当」というものがある。函館限定のコンビニチェーン「ハセガワストア」で販売されている商品で、「函館といえばハセストのやき弁」と店でもらえるパンフレットに書いてあるくらいには有名な品である。

 このやきとり弁当、最大の特徴は肉が豚肉であるというところにある。「やきとり」なのに豚肉である。驚いたことにパンフレットにその旨の記載はない。単品メニューの下の方に「とり肉メニュー」があるのでようやく鳥ではないと言うのがわかるくらいだ。あるいは弁当箱の蓋に豚の絵が書いてあるからそれで判断できるかもしれない。

 とにかくそれくらいに函館では「やきとり」は当たり前に豚のようだ。鳥の焼き鳥は頼まないと出てこない。鳥の焼き鳥、とは頭痛が痛いといった言い回しのようにも見えるが、鳥を付けなければ出てくるのは豚なのだから仕方がない(探してみれば、やきとりと言いながらも豚を使っているところは意外にある。同じ北海道でも室蘭などは有名で、道外であれば長門や久留米あたりが有名らしい)。

 

 とまあ、このやきとり弁当だが、食べて見ると実に美味い。

 味は、タレ・塩だれ・塩・うま辛の4種類。特にタレ味が人気で、私も食べるときはほとんどこれだ。甘辛いタレの味が肉にもご飯にもよく合う。注文してから調理してくれるので、出来た手をそのまま店で食べることも可能だし、もちろん持ちかえってから食べてもそれはそれで美味い。

 函館駅から数分のところにある「棒二森屋」というデパートにもハセガワストアが入っているので、ここでやきとり弁当を調達し、先ごろ開通した北海道新幹線に持ちこんで食べることだって出来てしまう。これは素晴らしい。函館を後にしながら函館を感じられる。何たる幸せか。

 惜しむらくは店舗数の少なさ。全部で14店舗展開しているが、観光等で行きやすいエリアにあるのは棒二森屋店、ベイエリア店、五稜郭店くらいだろう。あとは街中にあっても観光地ではない立地が多い。

 私はやきとり弁当が食べた過ぎて夜遅くに店を探しまわり、結局函館市電の終電を逃すという失態を犯したことがあるが、まあ、それくらい好きなのである。

 昼食のメインに据えてもいいし、寿司あたりで軽めの昼に調整した後のおやつでもよし。夜食としてもすばらしい。またハセガワストアそのものはコンビニであり、さらに言えば近年はセイコーマートの系列ともなっている。つまりセイコーマートの商品が置いてある。セイコーマート自体も北海道限定品の豊富さや総菜、弁当類の豊富さには目を見張るものがあり、私としてはこちらも好きなので嬉しい限りであり、自宅の近くや職場の近くに欲しいチェーン№1だ。だから総菜とやきとり弁当を組み合わせてちょっと贅沢な雄藩とするのもやぶさかではない。

 函館に到着した頃にはあの甘辛いたれの味を思い出していつ食べようかと思いをはせている市、帰る際にはせっかくだからと買い出しに走ってしまう。それほどにやきとり弁当は美味い。

 

 同じく函館ローカルチェーンとして名高いラッキーピエロというハンバーガーチェーン(の名を被った何でもある定食屋)と合わせて、私の函館観光の定番となっている。両者ともに軽食にも主食にも成り得るため、私は大変重宝している。そんな存在だ。

 

 ちなみに、根室でも全く同じやきとり弁当を食べることができる。「タイエー」という根室市内に3店舗あるコンビニで、ハセガワストアの系列店として数えられている。またこれも例によってセイコーマート系列でもある。

 どうもハセガワストアのやきとり弁当を食べて衝撃を受けたらしく、頼み込んで弟子入りして持ちかえったそうな。そのため、店のマークはほぼ同じだし、やきとり弁当そのものに至ってはパッケージ化らなにからなにまで同じである。ものすごい執念である。

 一応気になって根室を訪れた際に食べて見たが、函館のものと全く同じで嬉しくなった。

 距離にして500キロ以上も離れているのに、北海道の端と端でだけ同じものが食べられる、不思議な感覚である。

 実はタイエーだともう少し弁当の種類が豊富で、鹿肉弁当などもあるらしい。これもまた、いずれ食べに行きたい。